
ホールケーキアイランド首都から爆発音と叫び声が聞こえてきた。
「なんじゃ!?」
『・・・っ!』
ジンベエさんと共に駆け足です都へ向かうと街へ向かう街道は破壊され、ホーミーズが倒れている。
悲惨な光景に背筋がゾクッと震えた。
『そんな・・・』
「ビッグマムの食いわずらいじゃ」
頭の中に浮かんだお菓子が食べられない時にビッグ・マムが発症する癇癪が「食いわずらい」と呼ばれる発作であり、前触れもなく突然起こるそうだ。
この発作を起こすと巨体のビッグ・マムが見境なく暴れまわり、手当り次第に破壊したり周りのものを食べてしまったりする為、子どもたちや手下も手がつけられないらしい。
『止められないんですか!?』
「ビッグ・マムの発作を止める手立てはただ一つ、発作原因となっているお菓子を食べさせることじゃ」
ーーー食べたいお菓子?
ビッグマムは「クロカンブッシュを持って来いーーー!!!」と叫びながら街を破壊していく。
クロカンブッシュとはカスタードクリームを入れた小さなシューを飴などの糖衣で貼り付けながら円錐型に積み上げた飾り菓子の事だ。
『今から用意して間に合うんでしょうか』
「・・・確かホテルにシュークリームのホーミーズ達が泊まっていたはずじゃ。わしはクロカンブッシュを用意する!ユウナくんはビッグマムの動きを止めておいてくれ!!」
『は、はい!』
ジンベエさんは駆け足でホテルへ向かっていく。私は言われた通り、ビッグマムを止めるために彼女の元へと走った。
私とポケモン達であの巨体を止められるのだろうか?
「クロカンブ〜〜〜ッシュ!!!」
「ビッグ・マムの癇癪だァ〜〜〜!!!」
「まさかこの街で!!?」
「キャーーー!!!」
「うわーーー!!!」
「どこにある!?どこにいる!?この味じゃねェお前でもねェ!!全部違ァ〜〜〜〜〜う!!!」
城まで壊しかねない勢いで街を破壊していくビッグマムに対して、 息子のモスカート様が説得を始めた。
「ママ!!やめてくれ!!」
シャーロット家16男ジェラート大臣のモスカート様。
左右で色が違うリーゼントのような髪型で割れアゴが特徴の男性で正義感が強く、兄弟姉妹や市民からも信頼され慕われている方だ。
息子の言葉なら我に返るかもしれないと思い、私はモンスターボールを投げる手を止め見守った。
「あと30分時間をくれ!!!今シェフ達が大至急作っている所だ!!」
「よせモス兄!!それを止めるのは不可能だ!!!」
「首都の崩壊を見過ごせというのか!?」
「そこをどけ〜〜〜!!!」
ビッグマムの手から雷雲ゼウスの雷が放たれる。
「私がわからないのか!?ママ!!!」
「ライフオアトリート・・・・・!?」
「ウソだろ!?ママ!!あんたが生んだ息子だぞ!!!」
「ママやめてーーー!!!」
どうやらソルソルの実の能力の力で寿命を取るようだ。子供達の声も届かない。
「お菓子はまだここには・・・!!」
「お菓子を食べる邪魔をするな・・・」
モスカート様の身体からナニかが出てきた。
「モスカート!!落ち着け!!臆したら寿命を取られるファ!!!」
「うわァ!!助けてくれママ!!もう止めないよ!!」
「40年」
逃げ出す彼から魂を抜き取るビッグマム。実の息子ですら彼女を止めることは出来ないのだ。食いわずらいを起こした彼女が暴れ始め万国を滅ぼそうとすれば、最高戦力であるスイート3将星の面々ですらそれを抑えるのは不可能だろう。
「兄さん!!!」
「モスカート様!!」
「実の息子を殺したァ〜〜〜〜〜!!?」
「クロカンブッ〜〜〜シュ!!!」
「逃げろ!!誰にも止められない!!」
誰もがビッグマムを止められず逃げ出していく、だけど私は逃げるわけにはいかない。
モンスターボールからアシレーヌを出すと「しゃなるん♪」と美しく鳴いた。
ジンベエさんがクロカンブッシュを持ってくるまであの怪物を止めてみせる!
『アシレーヌ!冷凍ビーム』
「アシェッ!」
青白い稲妻のような光線をビッグマムの足に放つと凍りつき、動きが止まった。
「あァ!!?」
『能力者は水に弱いんですよね。アシレーヌZ技いくよ』
「しゃなるん♪」
鞄から水のZクリスタルとZリングを取り出した。
Zワザとは、トレーナーの思いをポケモンに重ねて互いの全力を解き放つことで炸裂する、バトルで1度限り使える絶大な威力の技だ。
使用するには「Zリング」と「Zクリスタル」という2種類のアイテムが必要で、トレーナーはZリングにポケモンのタイプに応じたZクリスタルをはめ込み、ポケモンにも同じZクリスタルを持たせる事で発動可能になる。
腕を上下左右にゆっくりと動かし、躍りに合わせてクリスタルが七色に光る。
ーーーアシレーヌはZパワーを身体に纏う。アシレーヌが解き放つ全力のZワザ!
『わだつみのシンフォニア』
「〜〜〜♪」
アシレーヌ専用のZワザ。専用のZクリスタル「アシレーヌZ」により、「うたかたのアリア」から変化する。
巨大な水のバルーンを作り出して相手の頭上に送り、爆発させ攻撃した。
「ブワッ!!ハハハ・・・マ〜マママママ・・・」
水しぶきが降りしきる中、ビッグマムは濡れた身体と髪を垂らし、その場に立ち尽くした。
これで頭が冷えて、おとなしくなればいいがそうは行かないだろう。
「・・・どこだクロカンブッシュを出せ!!!」
ジンベエさん!早く来て。
その時、ジュースの川から巨大な鮫に乗ったジンベエさんの姿が見えた。
傍らにクロカンブッシュを持っている。どうやらホテルに泊まっているシュークリーム達を捕まえられたようだ。
「ユウナくんどいていろォ!」
『ジンベエさん!』
「受け取れ」
ビッグマムの口にクロカンブッシュを放り込むと「お〜〜〜い〜〜〜しィィ〜〜〜!!これこれ〜〜」とその場に座り込み味を堪能し始めた。
その様子を見た住人から歓喜が沸き起こった。
「やったぞ!ママの癇癪が治った〜!!!」
「有難う!!ユウナ様!!ジンベエ親分〜〜〜!!」
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