
ジンベエさんと出逢えて自由になりたいという意志を持ち始めた。
万国にいれば不自由なく暮らせるがどこへも行けず、自分の世界に帰る方法など探せるはずもない。
身の安全の為に結婚してしまった事にも後悔している。
あんなに素敵な人と私では不釣り合いだし、彼を幸せにすることなど到底不可能だからだ。
「ビッグマムに逆らえば命の保証はない。ルフィくんは必ずお前さんを迎えに来る!それまで辛抱するんじゃ」
『・・・はい』
ルフィさんが迎えに来てくれる事を信じて。
ーーーだけど
それは命の恩人であるプリンちゃんやカタクリ様を裏切る事になるのでは無いか。
悲しませる事をしたくはない。
ーーーでも
理不尽に対して抗えない人間の性質は一生そのまま。一生家畜。今後一生頭を垂れて生きるの?
ーーー嫌だ
その様子を見たジンベエさんは不安そうに私に声を掛けた。
「ーーーユウナくん?」
『・・・私も自由になりたいです。海に出てポケモン達と旅をしたい。元の世界に帰る方法を探したい。私はポケモントレーナーだから』
「あぁ!必ず助けに来る」
今まで我慢してきた涙が溢れ落ちる。
ビッグマム海賊団には命を救われた恩がある。それに対して私は精一杯頑張って尽くしてきた。
敵と戦い、ポケモンの力で宝石を生み出し大金をビッグマムに納め、決められた相手と結婚し、幸せな夫婦像を作り上げた。
だけどそれももう限界。
『自分を騙して生きることがツラいんです』
記憶を失っているけれど、私には大切な仲間達がいる。
好きな人がいる。
夢がある。
自分の人生は自分で決めたい。
『・・・ッ!何で忘れちゃったの!?』
思い出そうとすると頭が割れるように痛い。
何かに掴まれ、暗い暗い闇の中をずっとさ迷っていた気がする。
怖くて、寂しくて、このまま死んでしまうと思っていた。
その記憶を思い出すと、目眩と吐き気が込み上げ嗚咽を漏らす。
ジンベエさんは私の背中を優しく擦ってくれていた。
胸の内に抱えていた事を話すと楽になる。
ビッグマムの子供達には絶対に話せないけれど、傘下であり、ルフィさんを慕っている彼なら私の悩みを話せた。
『ごめんなさい・・・』
「謝る必要などない。記憶を失いビッグマムに頼り従うしか無かったんじゃ。ユウナくんは頑張って生きてきた」
『・・・こんな私をルフィさんは受け入れてくれるでしょうかっ?』
「あぁ、ルフィくんは仲間を大事にしておる」
『・・・・・信じて待っています』
胸に手を当て頷く。
私には待つことしかできない。
逃げ出せば、ポケモン達が危険に晒されてしまうから。
ジンベエさんに礼を言い、一筋の涙を流しながら微笑んだ。
[ 29/75 ]
[*prev] [next#]
back