建物や噴水、服等チョコレートで出来たお菓子の町、カカオ島に着いたプリンちゃんと私はラビヤンから飛び降り礼を言う。


『凄い・・・レンガも家も全てチョコで出来てる』

思わず感嘆の声を漏らすとプリンちゃんは微笑んだ。

「この町のチョコは好きなだけ食べてもいいけれど屋根の瓦チョコだけは食べちゃダメなの。雨雪を凌げなくなっちゃうから。窓ガラスはキャンディー大臣。柱はビスケット大臣の管轄でチョコ以外は私物、または公共物になるのよ」

キャンディー大臣はペロスペロー様。ビスケット大臣はクラッカー様の事だろう。

そして・・・

『チョコレート大臣はプリンちゃん?』

「・・・・・いいえ。さ!食べて」

家の一部を砕き、私の口の中にお菓子を入れる。
サクサクして、甘くて美味しい。

「ここのジャムとビスケットとチョコのハーモニーが自信作なの。美味しい?」

『とっても美味しいよ!』

「有難うユウナちゃん。口溶けどうだった?ココアバターに高純度のてん菜糖の甘みにミルクを加えて29℃で3日3晩練ったのよ!美味しいって言ってくれて私泣きそうなのホント!!」

『チョコを作るのが好きなんだね』

「えぇ、うふふ」


美味しいお菓子を頬張っていると、小太りの男性がプリンちゃんに声を掛けてきた。
本官といっているため町の警察なのだろう。

「プリン様」

「チョコポリスさん、ご苦労様です」

「この度のご結婚おめでとうございますプリン様!式も近いのに店回りとは勤労も程々に・・・皆あなたの幸せを願っていますよっ!!」

「有難う」

その会話を聞き、食べていたお菓子を詰まらせ、ごほごほと咳き込んでから声を上げた。

『・・・結婚?!』

「えぇ、私がオーナーをしているカフェ、カラメルでお話しましょう」


プリンちゃんに手を引かれ、カフェに向かった。


建物内も全てお菓子で出来ている。
椅子に腰かけるとプリンちゃんは紅茶を淹れてくれた。

『有難う・・・プリンちゃん結婚するの?』

「えぇ、ママは身勝手だから・・・私達子供の結婚も海賊団の強化の為に利用するの。私達は自由な結婚なんて諦めてる。諦めるか逃げるしかない。私の大好きだった姉さんも自由な恋愛を求めて海へ飛び出したわ。求婚の旅へ!!」

『もしかして・・・その人がチョコレート大臣だったの?』

「そう、ローラ姉さんが旅に出た後、大臣は欠番で誰もが私に大臣をしてほしいと頼んできたけどずっと断り続けているの。またいつか帰って来てくれるんじゃないかと思って・・・」

『・・・自由な恋愛』


生きるために私はカタクリ様と結婚した。
拒否をしていれば当然殺されていたのだろう。

私には勿体無い程、優しくて素敵な人の元へ嫁がせてもらい旦那様になってもらったのだから感謝しなければいけないのに。

愛され大切にされているのは感じるけれど、私はその気持ちには到底応えられない。


罪悪感から胸の奥が痛んだ。

『ーーー結婚相手の男性には会ったの?』

「・・・・・!!え・・・え・・・えぇ一度。ヴィンスモークさんという方なの。とっても優しくて紳士で目はハートだけどお菓子作りにも詳しくて色々教えてくれた。趣味も合うし男らしいし!足が黒いらしいけど強くて頼りになる・・・!!」

『好きになっちゃった?』

「す!!す!!好きっていうかそのだって・・・!!ママの決定は絶対だし結婚するんならやっぱりその・・・」

頬を赤らめてもじもじと身体を揺らすプリンちゃんが可愛い。
紅茶を飲みながら微笑むとプリンちゃんはにっこりと笑った。

「万国のみんなは私の結婚を祝福してくれてる。ヴィンスモーク家の人達もそう、ママもウェディングケーキを楽しみに・・・!!ママの命令には逆らえないから自由な結婚は出来ないけどーーー私は子供の頃から楽しみにしてた。私の結婚相手はどんな人だろうって・・・そしたら現れた!!夢かと思うほど素敵な人で驚いた・・・」

『相思相愛なんだね。羨ましいなぁ』

「うふふ、ユウナちゃんとカタクリ兄さんだってお互いを想い合ってるでしょう」

『・・・・・え、そうなのかな』

端から見ればそう見えるのだろうか。

そんなつもりは全く無いのだけれどと口にすると「何言ってるのよ!結婚したでしょう」と怒られてしまった。


『だって・・・私』

「・・・まさかカタクリ兄さんの事が好きじゃないとか言うんじゃないでしょうね?」

先程のピュアな彼女はどこへやら、鬼の形相で睨まれ、私はビクッと肩を揺らした。

『だってだって!無理やり結婚させられたんだよ』

「・・・それで悩んでたのね。カタクリ兄さんはユウナちゃんのこと好きだと思うけど?」

『・・・・・嘘』

「本当よ!直接カタクリ兄さんに聞けばいいじゃない」

『・・・聞いたよ』

「なんて言ったの?」

『・・・・・好きだって、愛してるって』

「あのカタクリ兄さんがぁ!?へぇ・・・良かったじゃない」

『いや・・・うん・・・良かったんだけど・・・・・』

視線をさ迷わせるとプリンちゃんはテーブルに肘を付き訝しげな視線で此方を見据える。

「なによ?まさか他に好きな人でもいたわけ?」


ふと、夢に見た人を思い出す。

顔も名前も思い出せないけれど大切な人だったと思う。


『・・・うん、たぶん』

「カタクリ兄さん可哀想!こんなにもユウナちゃんを想って尽くしてるのに」

『嫌いじゃないよ』

「当たり前じゃない!皆から絶大な人気のカタクリ兄さんを嫌いだなんて言ったらユウナちゃん怒られちゃうわよ。・・・それにしてもユウナちゃんの方が問題だったのね。想い人も思い出せないんだしこのまま忘れて、早くカタクリ兄さんを愛してママに孫の顔を見せなさい」

『愛してって・・・プリンちゃんみたいに誰かを愛せないから』

「私は別に」

『・・・好きとか愛してるってどんな感情なの?』

「ずっと一緒にいたいとか彼の事を思うと幸せな気持ちになるとかそんな感じよ」

プリンちゃんは本当に結婚相手の人の事が好きなんだなぁ。

『私がプリンちゃんのウェディングドレス選んでも良いかな?』

「・・・!勿論」

『嬉しい!幸せになってねプリンちゃん』

「・・・・・有難う」



私は式当日までプリンちゃんの演技を見抜けなかった。

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