
不穏な空気がポケモン達のお陰で明るく盛り上がった。
式が始まる前に改めて鏡を見る。
化粧をしているからかいつもより肌が白くキラキラと輝き、目元も明るくなっている。
流石はプリンちゃんだ。
純白のウェディングドレスは転んでしまい汚れてしまったが、ディアンシー達のお陰で、白と桃色(ピンクダイヤモンドの欠片)で基調としたハイロウウェディングドレスとなった。
前が短く、後ろが長い為、思いっきり足が見えてしまっている状態だ。
皆に祝福され、素敵な旦那様と結婚する。
これが女としての喜びなのだろう。
ーーーだけど
「ユウナちゃん」
名前を呼ばれて振り替えるとそこには小さな少女が手にベールを持ち微笑んでいた。
薄桃色のカールがかかった長髪に赤い瞳。
その姿は少し前の自分の容姿に酷似している。
記憶喪失となり一部が白髪となってしまったため髪を染めてしまったが。
この髪を見るたびに泣きそうになってしまう。
「・・・どうしたの?」
『ーッ!なんでもないよ。ベールを持ってきてくれたの?』
「うん!」
屈むと少女と視線が合う。
ベールを被せて貰うと少女は微笑んだ。
「似合ってるよ!」
『有難う。あの・・・名前を聞いてもいいかな?』
「うんッ!私はシャーロット家39女のアナナだよ」
『アナナちゃん、初めまして』
ニコッと微笑み、アナナちゃんについていき式場に入る。
式場には大勢の人達がおり、緊張と恥ずかしさから後退りをしそうになる。
その時、足首に痛みが走り転びそうになった瞬間、腕を掴まれ両手で抱えられた。
その人はーーー。
『・・・カタクリ様!?』
「大丈夫か?」
『は、はい!』
私は顔を真っ赤にさせて恥ずかしさから俯くと会場からのビッグマムの声と共に歓声と拍手が沸き起こった。
「あの娘が噂の魔獣使いか!」
「何だあの生き物!?」
「「「「「カタクリ様ァ〜〜〜!!!」」」」」
カタクリ様結婚しないでー!との女性達やビッグマムの娘達から睨まれ私は益々顔を青ざめる。
病める時も・・・健やかなる時も・・・
富める時も・・・貧しき時も・・・
共に歩み死が二人を分かつまで・・・
カタクリ様に抱えられながら神父の誓いの言葉が聞こえてくる。
『・・・』
内容が全く頭に入っていない状態で、不安から彼の顔を見るが相変わらず口元がファーで隠れていた。
いつか、そのファーを外してくれる日が来るのだろうか。
ーーー愛と忠実を尽くすことを誓いますか?
「あぁ」
『・・・』
沈黙し暗い瞳でその様子を見る。
カタクリ様は私の事が好きなのかな。
いや、そんな訳は無い。
これは政略結婚なのだから。
結婚すれば生涯をビッグ・マムに支配される。
ここで彼と共に生きていく事になる。
ーーーそれでいいの?
『ーーーっ!』
戸惑い困惑し返事を渋る私の姿を見たプリンちゃんとフランペちゃんは叫び怒鳴られる。
「ユウナちゃん!早く頷いてッ!!」
「あんたねェ!魔獣使い!!カタクリおにー様を振ったらブッ殺すから!!!」
『は、はい』
慌てて返事をすると、神父様はにこやかに頷き、カタクリ様は私を降ろす。
ーーー怒られる!!
半泣きで俯いていると、カタクリ様は膝を曲げて私の手を掴み、指に何かをはめた。
これは
『・・・指輪』
キラキラと輝く薄桃色のダイヤモンドがついた指輪。
それはディアンシーの力によって生み出されたピンクダイヤモンドだった。
『綺麗』
ピンクダイヤモンドの指輪に気を取られていると、神父様がコホンと咳をする。
大勢が見守る中で、私もカタクリ様の指に指輪を嵌めなくてはいけないのだ。
簡単だと思っていた。
指輪を嵌めるだけなのだ。
だけど、緊張しすぎで思ったように指に指輪が入らず手間取っていると
「・・・落ち着け」
その言葉を聞き、ゆっくりと深呼吸をし、改めて右手の親指と人差し指で持ち、自分の左手を相手の指先に添えて、指輪をはめる事が出来た。
『・・・出来た』
ふと顔を上げるとカタクリ様の双眸が私を映している。
赤い瞳と赤く淀んだ視線が絡み合う。
『ーーーっ!』
その美しい瞳に魅入られそうになり視線を逸らすと拍手と歓声が沸き起こる。
そのまま式は終わり、披露宴になってしまった。
誓いのキスがあると思っていたが無く安心から小さく息を吐く。
すると巨大なウェディングケーキが姿を現した。
「いでよ!!祝福の〜ウェディングケ〜〜〜キ!!!」
「「「「「ウォ〜〜〜ブラボー!!」」」」」
「マンママンマ♪うんまそ〜〜〜!!!」
そこからの事はまるで夢の様で、大勢のビッグマムの家族や客人から祝われ巨大な甘いウェディングケーキを食べたのだった。
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※カタクリ視点
「・・・ユウナ」
『あ!カタクリ様』
周りから祝福の言葉と甘いカクテルをスムージーに勧められ、ぐいぐい飲んでいた為、心配し声を掛けたが思っている以上に酔っぱらっているらしい。
ママはウェディングケーキに満足し目を輝かせているし、プリンは未だにフランペに対して説教をしている姿を見ると溜め息が漏れる。
『ケーキもスムージー様が下さった飲み物も美味しいですよ』
ひっくと完全に出来上がってしまっている花嫁を見て頭を痛める。
「兄さんもどうだ?」
スムージーがキリンを絞った飲み物を渡してきたが断り、酔っぱらい足元がふらついているユウナを抱き抱えると顔を真っ赤に染めた。
『・・・カタクリ様』
名前を呼ばれ、そっと身体を寄せられるだけで胸の奥が高鳴る。
「・・・・・似合っている」
『ドレスですか?・・・有難うございます』
ニコッと微笑むユウナを見ると益々頬が熱くなるのを感じた。
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