
※クラッカー視点
カタクリの兄貴が結婚すると聞いて戻ってきてみれば、なにやら城の前でフランペの騒ぎ声が聞こえてくる。
「・・・なにやってんだ」
ビスケット兵を纏っていなかったせいか若干の沈黙の後にフランペはおれの名前を呼んだ。
「・・・ッ!別になんでもないわよッ」
『・・・初めまして』
フランペと一緒にいる見慣れない少女が小さく頭を下げた。
色白の肌に紺色のボブカットの髪がさらさらと揺れる。瞳は兄貴と同じ燃えるような赤い瞳。
警戒しているのかその瞳は鋭く冷たく暗い。
肩には奇妙なウサギが乗っていた。
ホーミーズなのだろうか。
「あぁ・・・おれは将星クラッカー」
『将星!?』
目を見開いていた慌てて再度頭を下げる女に対してフランペに「新しく入ったヤツか?」と聞くと身体を宙に浮かせながら頷く。
「そうよ。最悪の世代の一人。魔獣使い」
「・・・こいつがァ!?」
『ユウナと申します』
指を差すと女は微笑んだ。
兄貴がどんな巨漢の女と結婚するのかと思えばまさかこんな小さなガキを嫁にもらうことになるとは。
25男シャーロット・スナックのことを思い出す。
ここ2年の間に最悪の世代の1人ウルージにより倒された将星であり、スナックが現役の頃は“スイート4将星”と呼ばれていたのだ。
だが、破れた今はスイート3将星となっている。
スイート4将星の一角スナックを倒したウルージの討伐を行い、軍団と共に彼を海に追い詰め、ビッグ・マムの天候を操る力でウルージの船を海に沈めたが。
とても同じ最悪の世代とは思えない。
どんな化け物を扱うのかと思えば肩に乗っているのはウサギのような小さな生き物だ。
こんな生き物に何が出来ると言うのか。
「・・・ッ!とても4億超えのルーキーとは思えねェ」
「そうでしょ!?クラッカーおにー様ッ!」
『・・・あはは』
女は苦笑いを浮かべているが、これはかなり深刻なんじゃねェのか。
兄貴の嫁がこんなのではビッグマム海賊団の名に傷がつく。
「おれが兄貴を止めるしかねェのか」
「私も協力するわ!おにー様ッ!」
「・・・・・何をしている」
背後から低い声が聞こえ、慌てて振り替えるとそこにはおれより2メートルも高いカタクリの兄貴がこちらに気づき近づいてきた。
「戻りが遅いと思えば」
『すみません。フランペちゃんとお話をしていまして』
「あんた私のせいにする気ッ!?」
「兄貴!本気でこんな女と結婚する気かッ!?」
兄貴はおれの問いに小さく頷く。
嘘だろとよろめいていると『大丈夫ですか!?』と女が背中を支えようとしてくる。
慌てて振り払うと兄貴に睨まれ背中がゾクッと震えた。
「・・・あまり苛めるなフランペ、クラッカー」
「い・・・苛めてなんかいないわよッ」
フランペは罰が悪そうな顔をし、その場から去ってしまった。
いつもなら兄妹に優しい兄貴がこんなに機嫌を悪くしてしまうだなんて。
ーーー人間恋すりゃ変わるって本当だったんだな。
おれは兄貴の機嫌直しに両手を叩き、ビスケットを数個生み出し、女に渡すとその光景に目を見開いていた。
『ビスケットが・・・』
「おれはビスビスの実のビスケット人間。ビスケットを無限に生み出し操れる。丁寧に作り込めばホラ・・・屈強な戦士の顔!」
両手を更に叩き、ビスケットを生み出す。
「ビスケットは時代によってーーーまた作り手によって姿を変えるもの・・・!おれの正体に行きつく者はそうはいない・・・!!現に政府が発行した手配書に写っているのもおれじゃない鎧だ!!おれは痛いのが嫌いでね・・・注射も嫌いだよ!!だから鎧をまといあるいは操り戦う!!叩けば増えるそれがおれの夢のビスケット従って・・・戦力も無限といえる」
女は鎧人形を見つめていると『凄い能力ですね!』と微笑んだ。
貰ったビスケットに対してもきちんと礼を言い微笑む。礼儀や教養がある娘のようだ。
更に政府が危険人物としているだけの力を隠し持っている。
確かにまぁ、この女なら兄貴を受け入れられるかもしれない。
「今度魔獣の力を見せてくれねェか?」
『・・・!はい』
「・・・行くぞユウナ」
カタクリ兄貴に連れられて城へと戻ってしまった。
その後、ユウナが魔獣を従え、無数の敵の艦隊を破壊し撃退したことや珍しい宝石の原石を生み出したことなどを聞かされておれは益々あの女に興味を持った。
[ 15/75 ]
[*prev] [next#]
back