
※フランペ視点
身体を浮かせながら魔獣使いの元へ向かうとママの船からおにー様達が降りてきた。
私は慌てて物陰に隠れてカタクリおにー様を見つめる。
「おにー様カッコいいッ」
世界一完璧なおにー様。
物静かで強くて背が高くて優しいおにー様が大好きだ。
それなのにーーー!
『・・・カタクリ様』
「・・・なんだ?」
「ーーーッ!」
手配書で見たあの女がカタクリおにー様を呼び止めたのだ。
怒りで我を忘れて今すぐ飛び出したかったが、ここでカタクリおにー様に見つかってはマズイ。
私は深く息を吐き、隠れて様子を伺った。
『あの・・・本当に私なんかと結婚するつもりですか?』
「・・・そのつもりだが」
「ーッ!」
カタクリおにー様は優しい。誰よりも。
ママに命令されてしかたなくこんな女と結婚することになったんだ。
手に持っている吹き矢にシビレ針を仕込んでいると女狐とカタクリおにー様との会話は終わり、おにー様は城へと戻ってしまった。
ーーーチャンス!
女が1人。肩には奇妙なウサギのような生き物が乗っているが、強そうには見えない。
まさかあれが魔獣なのだろうか?
そうならば笑ってしまう。
あんなに小さくて弱そうな可愛いウサギが魔獣だなんて。
吹き矢にシビレ針を仕込み、お腹を膨らませてシビレ針を女に向けて放つ。
すると女は素早く身体を横に逸らし、シビレ針を避けたではないか。
その光景を見た私は思わず声を漏らしてしまった。
「え!?避けた・・・!?私の無音の針を!」
私の声が聞こえたのか、女はこちらに視線を向け近づいてきた。
ヤバイ!逃げないとッ!
慌ててその場から逃げようとした瞬間、無数の泡が身体を包み込んだ。
「ーーー何ッ!?」
『イーブイ、いきいきバブル』
「ブイッ!」
***
相棒イーブイ専用技。水タイプのいきいきバブル。与えたダメージの半分のHPを回復する技だ。
***
「きゃあぁあッ!」
泡に包まれると女の声と共に泡が破裂する。
その衝撃で私は地面に倒れ込んだ。
「う・・・ッ」
衝撃波により身体を立たせずにいると、女は妙な力を使うウサギのような生き物を連れて私の元に近づいてきた。
女は膝を曲げて地面に伏せている私の顔を見る。
炎のように赤く燃える瞳と視線が合うと私の背中がゾクッと震えた。
手配書で見た少女とはまるで違う。
ーーー怖い
『初めまして・・・貴方は?』
「ブイブイ!」
「・・・ッ!私にこんな仕打ちをしてッたたで済むと思ってんの!」
『先に攻撃して来たのは貴方ですよね?』
「はぁ?何言って・・・ッ」
女は私が射ったシビレ針を二本の指の間に挟んで微笑んでいた。一体いつの間に。
まさかコイツーーー。
『少し痺れますね。でも私には効きませんよ。ピカチュウの電撃に慣れてますので』
「・・・ッ!あんた覇気を使えるのねッ」
『・・・・・覇気?』
「私の無音針を避けられる奴なんてそういないわッ」
『・・・褒められてるんでしょうか?』
女は微笑むと私に手を差し出してきた。
引っ張り上げて起こす気なのだろうか。
私は差し出された手を叩き、何とか身体を立たせる。
身体に力が入らない。
このウサギの魔獣に何をされたのだろうか。
『イーブイ専用技いきいきバブル。相手の体力を削り、自分を回復させるとても強い技なんですよ。その他にもびりびりエレキやめらめらバーンなど水、電気、炎、悪技などが使えます』
「ブイッ!」
「わけわかんないッ!あんたみたいな気味悪い女にカタクリおにー様を取られるだなんてッ!私は絶対に認めないんだからッ」
『・・・カタクリ様の事が大好きなんですね』
「・・・ッ!当たり前でしょ!誰もがカタクリおにー様のお気に入りになりたい!!私こそが最愛の妹!!キングオブ妹になる女っ!!!あの人はいつでも完璧じゃなきゃいけないの!」
ハァハァと息を切らしながら叫ぶと女はポカンとした表情から少し笑って微笑んだ。
『完璧じゃなきゃいけない?』
「そうよッ!だからあんたみたいなブスで記憶喪失で気味が悪い生き物を連れてる女なんかカタクリおにー様に釣り合わないのよ!」
『・・・でも、私とカタクリ様の結婚を決めたのは貴方のお母様ですよ?』
「ーッ!ママは相手が強ければ誰でもいいのよッ!」
相手が強ければ・・・確かにこの女かなり強い。
見聞色が強いのか私の無音針も避け、ウサギのように可愛い魔獣でさえ強力な能力を使うようだ。
流石4億超えのスーパールーキーと言ったところか。
だけど
「私は認めないッ!」
『はい・・・私もカタクリ様とは不釣り合いだと思っていますし・・・ですが・・・カタクリ様カッコいいですね』
「ーーー!でしょ!?カタクリおにー様は完璧で世界一なの!おにー様のお気に入りはこの私!!あんたわかってんじゃない」
体力を取り戻し、身体を宙に浮かせると女は目を見開いていた。
宙に浮いている私に驚いているようだ。
「ちなみに私はカタクリおにー様のファンクラブ会長もしているの!・・・特別にあんたにカタクリおにー様のブロマイドをあげるわ」
『わぁ!有難うございます』
微笑みながら礼を言う少女に対して、私は気を許してしまっていた。
「しょうがないからファンクラブに入れてあげるわよ」
『有難うございます。あの・・・会長のお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?』
「フランペよ!覚えときなさい新人」
『はい』
「ーーーって、こんな話してる場合じゃッ!?」
「フランペ」
その時、背後からクラッカーおにー様の声が聞こえてきた。
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