
カタクリ様の後を追うとホールケーキアイランドの海岸に巨大な船が停泊してあった。
海賊旗を見ると、二角帽を被った強いパーマの掛かったような髑髏のバックに銃と片方が渦巻き片方が酌。
棒先には木が1本描かれている。
あれがビッグマムの海賊旗のようだ。
驚く事に船の船首が歌っているではないか。
どうやらビッグマムのソルソルの実の能力のようだ。
「・・・行くぞユウナ」
まじまじと船を観察しているとカタクリ様に名前を呼ばれ慌てて船に乗る。
海に出るという事はやはり敵船と一戦交えるようだ。
船に乗り込むと大柄の男性が大勢おり、此方を一瞥する。
ビッグマムの子供やその部下のようだ。
ビッグマム海賊団のメンバーの多くがビッグマムと血が繋がった子供たちで構成されており、ほぼシャーロット姓を名乗ってることが大きな特徴的だ。
ビッグマム海賊団のメンバーは双子や三つ子は当たり前で、中には五つ子や十つ子もいるそうだ。
こんな強そうで逞しそうな人達の前で私のポケモン達を見せるなんて恥ずかしいし怖いと思っていると背後からカタクリ様を呼ぶ声が聞こえ振り向く。
「おう、カタクリ!・・・まさかその子が噂の魔獣使いか?」
「まだ小せェガキじゃねェか」
「・・・・・オーブン、ダイフク」
『・・・は、初めまして』
左右に穴の開いたスペードマークのような髪型の男性がオーブン様で坊主頭で大柄な男性はダイフク様という名前らしい。
私は慌てて頭を下げ挨拶する。
ビッグマムの子供達は皆、大柄で背が高くてスタイルが良いのだろう。
マム自身、身長が八メートルあるからその遺伝なのだろうか。
「こんなチビに何が出来るってんだ?」
坊主頭の男性は膝を曲げて私と視線を合わし、頭をぐりぐりと撫でられた。
その様子を見ながらオーブン様とカタクリ様は小声で話し合っていた。
「・・・懸賞金4億2千万ベリーだと聞いた。一時、10億を超えた懸賞金が付けられたらしいな」
「覚えていないがな」
「記憶喪失か・・・プリンの能力で戻せないのか?」
「試したらしいが出来なかったようだ。何かの拍子で思い出す可能性もあるらしいが」
「・・・そうか」
ダイフク様に頭を弄られていると甲板から敵襲との声が聞こえてきた。
「・・・ナワバリに入って来た馬鹿な奴等がいるようだな。おい!魔獣使いッ」
『は、はい!』
「お前の実力がどんなもんかおれ達に見せてみろッ!役に立つようなら良し、役に立たないようだったら」
ダイフク様は海に指を差した。
役に立たないようだったら海に捨てられるらしい。
『・・・うぅ』
涙を目に溜めるとオーブン様はダイフク様の頭を叩き、カタクリ様は膝を曲げて私の頭を優しく撫でて下さった。
「心配しなくて良い。実力を測るだけだ」
『・・・カタクリ様』
ファーに隠され口元が見えないが、どうやら微笑んでいるようだ。
「甘ェんだよカタクリッ!」
怒鳴っているダイフク様とそれを止めているオーブン様に黙って様子を見るカタクリ様。
恐る恐る声を掛けるとダイフク様に睨まれてしまった。
『あの・・・オーブン様とダイフク様はご兄弟なのですか?』
「あぁ、オレ達は三つ子なんだ」
『・・・・・え?三つ子』
「オーブンとダイフクとおれのことだ」
今まで黙って様子を見ていたカタクリ様が声を発した。確かに似ている気がする。
背丈や体格、特に目元が。
「こんなチビで役に立たなそうな小娘を嫁に貰うなんて止めちまえカタクリッ!」
「・・・嫉妬とは見苦しいぞダイフク」
「うるせェぞオーブン!」
まるでコントを聞いているようで思わず笑ってしまった。
「笑うんじゃねェ!魔獣使いッ!」
ダイフク様に怒られ慌てて口元に手をやると、船に向かって砲弾が撃たれたようだ。
ドォン!という音と共に船が大きく揺れる。
『きゃ!』
身体が倒れそうになったが、カタクリ様に手を掴まれ体勢を立て直す。
「・・・おれがやれば直ぐにあいつらを追い払えるが、どうする?」
『・・・・・やります』
ここで戦わなければ私は一生、ビッグマムの城から出れなくなるだろう。
身動きが取れない檻の中にいるなど絶対に嫌だ。
敵船を見つめる。巨大な船が3つ。
旗にはサーベルと髑髏マークが描かれている。船さえ破壊すれば良い。
「手ェ貸してやろうか魔獣使い」
「邪魔するなダイフク」
ダイフク様とオーブン様は言い合っている。
彼らもまた悪魔の実の能力者なのだろう。
『大丈夫です』
私はホルダーからモンスターボールを取り出し宙に投げた。
光と共に姿を現したのはメタグロスだ。
「メタ!」
色違いの銀色のメタグロス。
鋼、エスパータイプ。4つの脳が磁力とサイコパワーで連結しており、並列処理を行う事で、無骨な外見に反しスーパーコンピューターを超える計算能力を持つと言われている。
『サイコキネシス』
強力な念力で敵船の動きを止めると船が軋む音が響く。
「なんだその変な奴ッ!?」
ダイフク様にだけは言われたくありません。
と危うく言ってしまいそうだった言葉を飲み込む。
ここが地上だったら地震で一発なのだが、地震を放てばこの船もろとも木っ端微塵になり海に沈むだろう。
能力者を海に落とせば泳げず溺れ死ぬと聞くが。
私は腕にはめている虹色に輝く石がはめ込まれたメガバングルを翳し、メタグロスの足にかけていたメガストーンとリンクさせた。
『鋼鉄の鎧を身に纏え!メタグロス!メガシンカ!!』
空中に虹色の石と同じ紋章が浮かび上がり、メタグロスの身体は光に包まれ姿を変えた。
―――メガメタグロス。
メタグロス、メタング、ダンバル2匹の計4匹が、サイコパワーによって合体した姿が変化した。
さらなる合体により個々の脳が並列的に情報の収集・処理を行う結果、元のメタグロスの比では無いほどの賢さを得た。
『ラスターカノン!!』
「メタッ!!」
メガメタグロスは身体の光を一点に集め、強力な光線を放つ。
その威力は凄まじく、艦隊を軽々と木っ端微塵に吹き飛ばすほどだった。
海の藻屑となり消えた敵船に対して、周りから悲鳴も歓声も聞こえなかったため、やりすぎたかと焦ったが直ぐに「すっげェー!!」とダイフク様の声が響き渡る。
「・・・良くやった」
カタクリ様に頭を撫でられ思わず頬を赤らめるとその様子を見ていたオーブン様は微笑んでいた。
『・・・っ!お役に立ちそうですか?』
「あぁ」
その言葉を聞いた私は微笑み、メタグロスに礼を言いモンスターボールの中へと戻す。
「それにしても、そんな小さなボールにあの魔獣が入っているだなんて不思議だな」
「やっぱ悪魔の実の能力者なんじゃねェのか?」
とオーブン様とダイフク様の言葉に再び笑みが零れそうになる。
不思議な不思議な生き物。
ポケットモンスター。縮めてポケモン。
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