とりあえず無事にスイカを割った後、樹っちゃんが綺麗にスイカを切ってくれた。
それをもしゃもしゃ、まるでカブトムシみたいに皆でスイカを食べる。
しゃくしゃく、と食べる度にいい音がする。
甘くて美味しいスイカだ。
隣でスイカを食べているバネさんがぷっぷっとスイカの種を飛ばす。
バネさん汚い、そう言ったら、これがスイカ食べる醍醐味だろ? と言い返されてしまった。
そんな醍醐味は知らない。
でも気がつけば皆スイカの種を飛ばしていた、あのサエさんまでも。
なんか、イメージに合わないよサエさん…。


「それにしてもバネさん、あんまりダビデをいじめちゃダメでしょ」

「いじめてないだろ?」

「いじめてないなら、からかうのをやめてあげて、激しいツッコミだけで十分」

「……へぇ〜?」


なにやらニヤニヤしながらバネさんは私を見ている。
なんか変な誤解をしている気がする。


「……言っとくけど、私ダビデの事は後輩としてしか見てないからね?」

「ハハッ、わかってるって。アイツの反応が面白いもんだからついな」

「バネさん?」

「悪い悪い、睨むなよ」


悪気はないんだからさ。
バネさんはそう言ってスイカを頬張る。
バネさんに悪気がないことくらいわかってる。
というか、悪気があったら一発二発殴っている所だ。
バネさんにとってもダビデは可愛い後輩なんだろうから、所謂愛情表現みたいなもんなんだろうとは思うけど。


「バネさんが卒業しちゃったら、誰がダビデのダジャレにツッコミ入れてくれるのかなー?」

「んー、まぁ剣太郎あたりが頑張ってくれるだろ」

「剣太郎には荷が思い気もするなぁ…だってバネさんのあの強靭なツッコミはそう簡単に修得できないよ」

「お前何気に酷いよな」


そんなことないよ。
答えてスイカを一口。
甘さが口いっぱいに広がる。
試しにぷっ、とスイカの種を飛ばしてみた。
意外と飛ばないものだ。


「そんなんじゃ飛ばないぜ? もっと勢いつけて飛ばさねぇと」

「ふーん…」


バネさんにアドバイスをもらったので、もう一度チャレンジ。
今度は勢いをつけてぷっ、と飛ばす。
お、さっきより飛んだ。
私に負けじとバネさんもスイカの種を飛ばしす。
二人揃ってぷっぷっと種を飛ばす。


「次俺より飛ばなかったら罰ゲームでダビデに告白な」

「じゃあ私が勝ったらバネさんがダビデに告白してね」

「やめろよ気持ち悪い」

「サエさんでもいいよ?」

「冗談じゃねぇサエに殺されちまう」

「……確かに」


ぷっ、と同時に種を飛ばした。
どういう奇跡か、両方の種はほとんど同じ位置に着地してしまった。
見事に引き分けとなってしまい、罰ゲームは無しの方向と決定。
ちくしょー、またダビデをからかえると思ったのに…とバネさんはなんだか悔しそう。
だからからかうのやめなってば。
罰ゲーム云々でなくても、ダビデに告白するくらいべつにいいんだけどね。
そう思ったけど口にはしなかった。




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