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脱出(1/5)

pipipipi....

セットしておいた携帯電話のアラームがけたたましく鳴り響く。


「んんー……」


鬱陶しい、とでも言うかのように眉間に皺を寄せながら
枕元に置いてある携帯電話を手繰り寄せぱかり、と開いた。


「(あー…2度寝したい、けど…起きるかー…)」


アラームを止めた携帯電話を適当に放り出し、だるそうに起き上がる。


「――――ここ何処?」


…そこで初めて異変に気付き、絢はあんぐりと口を開けた。

きょろきょろと辺りを見回すが家具も、照明も、挙句の果てには
自分が着ているパジャマまで、どれもこれも見覚えの無い物ばかりなのだ。

昨日は遅くまで起きていたが、きちんと自分の部屋で眠りに着いたはず。
おかしい、どうしてそんな自分が此処に居るのか分からない。


「(……も、もしや……うち、誘拐された?)」


顔を青褪め、うちを誘拐しても何の得にもならないよぉお!?と内心絶叫。

何にせよ、こんな得体の知れない場所にいつまでも居ていられない。
犯人が来ない隙に脱出する方法を考えねば、と先程放り出した携帯を手に取る。

幸運なことに、携帯電話だけはちゃんと自分が持っていた物で
電波もしっかりと3本画面に表示されていることに絢は安堵の息を吐いた。

早速誰かと連絡を取ろうと、アドレス帳を開き絢の表情が固まる。


「(あの…そりゃ、うち元々友達多い方じゃないけどさぁ…?
 だからって…アドレス帳の件数少なすぎじゃねー!?)」


そう、知り合いや友達のアドレスがごっそりと消えていたのである。
辛うじて残っていたのは家族と、絢の大好きな……


「ダーリンンンンー!!!」

『ハニィイイイ!柚季も今かけようとしてたんだよ!』

「まじか!うちら以心伝心すぎる!!」


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