日進月歩 | ナノ
部活(1/5)
放課後、帰ろうとしていた2人の携帯に1通のメールが届いた。
「あ、タロからだー」
「えー何の用だろ?てか初メールじゃん」
「今日の晩御飯のことかな?柚季はパスタが食べたいなぁ」
「何々…?柚季と一緒にテニスコートに来るように。ひよこ」
「えーっと…絢と一緒にテニスコートに来るように。ねこ」
「………ねこ?」
「………ひよこ??」
顔を見合わせた後お互いの携帯画面をそっと覗いてみると
確かに文章の最後にぽつん、とひよこと猫の絵文字が付いていた。
「……はーい。ひよこっと…よし、ひよこ無事返却!!」
「柚季も猫返した!それにしてもタロが絵文字とか意外だねー」
「うん、絵文字も句読点も無いのを想像してたんだけど」
「柚季は最後に絶対、行ってよしが入ると思ってた」
閉じた携帯をスカートのポケットに入れながら笑い合う2人だったが
ふと、何か重大な部分を忘れていることに気付き首を傾げる。
「あれ?メールの内容何だっけ??」
「……あ、絢と一緒にテニスコートに来るように、だっけ?」
何となく一緒に靴箱へと向かっていた幸村達の方をちらりと見ると
幸村だけがそれに気付き、どうしたの?と言うかのような視線を送ってきた。
「……ゆっきー、つかぬ事をお伺いしますが」
「テニスコートってどの方角?」
「それって方角で答えなきゃ駄目なの?」
「あー…南南西だろぃ?」
「いや、今日の気分は東じゃ」
「お前ら適当なこと言ってんじゃねーよ」
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