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蒼の子とお正月
(4/28)

「変わらないんだなぁ」

「Ah?何がだ」

「正月がだよ」

テレビが無いと言うことを除けば、除夜の鐘を聞き年が明けたと同時に挨拶をして、現代と何も変わらない年越しだった。
日が高くなれば、おせちだ、お雑煮だと正月料理を目一杯食べて、今はのんびりと自室でくつろいでいる。・・・なぜか政宗のおまけ付きで。

「Ha.時代が変わって、年明けまで変わったら大変だろうよ」

「そうか?」

「あぁ、年が明けるって事は無事に1年を越したって言うことだ。それがどれだけ有り難ぇ事か・・・分かるだろ?」

「・・・そうか、そうだね」

食料も医療も充実していないこの時代。治安も安定していないから、戦が起きれば人は己の明日の命の心配をする。
平和な世で平和ボケしながら生きてきた俺には、政宗の言葉が重く響いた。 

「そういやさ、初詣って行くの?」

「Ah...一応行くが?」

「俺、おみくじ引きたい」

「・・・×××、アンタ・・・」

「い、良いだろ?年初めの・・・その、運だめしってやつで・・・」

呆れながら俺をみる政宗に思わず言葉が尻すぼみになっていく。
大吉なら喜んで、凶なら騒ぎながら木に結んでetc
今年は横で一緒に一喜一憂してくれる妹がいない。・・・でも引きたいんだよ、おみくじ。

「オレはてっきり神頼みでもするのかと思ってたんだが」

「・・・やだなぁ。神頼みする事ないよ、俺」

「欲がねぇってか?」

「違う、違う」

現代に戻りたい?それは戻れないことが分かってる。
じゃぁ妹をこの世界に連れてきてください。
馬鹿は言えない。かわいい妹を戦乱の世に引き込む訳には行かない。
それに政宗の世話になっている手前、特に何か望むことがあるわけでもなく・・・

「政宗の天下統一を願おうかと考えた瞬間もあったんだけどさ。政宗、そんな神頼みされんの嫌だろ?」

「あぁ、オレは自分の力で天下を穫る。神だの何だのに頼らねぇよ」

「だろ?だから俺がお願いすることは何もないの。強いて言うなら、平和な世だけどそれは結局政宗に繋がるわけだしさ」

「I see.・・・さて」

おもむろに政宗が立ち上がる。
執務?と聞けば、思い切り怪訝な顔をされてしまった。

「何行ってやがる。行くんだろ、初詣に」

「え、あ、行く!行かせていただきます!」

「分かったら用意しな。準備できたら門前に集合な」

ひらひらと手を振り、俺の部屋を出ていった政宗に了解!とだけ返事をして、俺も身支度に取りかかった。




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連載ではまだココまで親密じゃないよね(←
(注:拍手掲載当時)

掲載期間
2012.01.02〜01.17




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