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(3/4)


『・・・んぅ?』

次に名無しが目を覚ましたとき、空はカーテン越しにうっすらと明るくなっていた。
体を起こせば、温くなったタオルがポトリと落ちてくる。
あれ?何でタオル?と落ちてきたタオルを握り締め、首を傾げる事数秒。

『・・・あ、そっか・・・』

熱を出して迷惑かけたんだった、と昨日の自分自身を思い出す。
とは言え昨日のような体のダルさも、頭がボーっとする事も無い。
唯一上げるとするならば、汗をかいたせいで体がベタベタするぐらい。
念のためベッドから出て、問題なく動けることを確認している最中ノック音と共に静かに扉が開かれた。

「失礼します。・・・おや、お目覚めでしたか。具合は・・・聞くまでも無さそうですね」
『あ、おはようございますー』

ふにゃっと笑う名無しにセバスチャンも片眉を下げて笑みを作る。
タオルを取替えに立ち寄ったが、どうやら無駄な行動になってしまったらしい。

『あ、そうだ』
「どうしました?」
『えっと、昨日はご迷惑おかけしました』

ペコリと名無しが頭を下げる。
思いがけない名無しの行動にセバスチャンは動じる事無く、頭を上げて欲しいと名無しに伝えた。

「私の様な者に詫び等不要ですよ」
『でも・・・迷惑かけちゃったし・・・』
「迷惑だなんてそんな。それに昨日はいい思いをさせて頂きましたし」
『・・・え。いい思い?』
「はい」

滅多にないイイ笑顔を見せるセバスチャン。逆に動じてしまうのが名無しである。
昨日何かやってしまったかと記憶を巡るが、生憎彼女の記憶はシエルに部屋に戻れと言われた所から目覚めるまでプッツリと切れていた。

『あの、私・・・何かしちゃったとか・・・』
「いえいえ、気に病まれることはありませんよ」
『で、でも・・・!!』
「さて。名無しの具合も良くなったようですし、私はこれで」
『え、え!?』

何がなんだかさっぱりな名無しを置いて、セバスチャンは恭しく一礼すると名無しに背を向ける。
そして扉に手を伸ばして一瞬だけ足を止めた。

「あぁ、そうだ。今お湯の準備をしています。整えばメイリンを寄越しますので、汗を流されては如何です?」
『あ、ありがとうございますー・・・』
「では失礼します」

パタン、と扉が閉まる。
暫くぼんやりと突っ立っていた名無しだが、我に返ってあたりを見渡す。

『結局流されて、何したか聞けてない!!!』

その後一人頭を捻らせど、全然記憶が思い出せないまま。
やがて迎えに来たメイリンに尋ねれど、当然首を横に振られてしまう。

『・・・もう絶対熱出して寝込んだりしない・・・』
「はい、体調管理は大事ですだよ」
『うん、そうだよね、大事だもんね・・・』
「・・・?」

自分が部屋から出た後、何があったか等知るはずもないメイリンは名無しの妙な決意にただ首を傾げるだけだった。



ある雨の日のお話 END
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