食べ物の恨みは恐ろしいのです
(2/2)
「はいはーい、お茶が・・・うぉっ!?」
『幸村。貴様ぁぁぁぁぁ!!!』
盆に茶を乗せ、まさに部屋に入ろうとした佐助の真横を赤い物体が通り過ぎてく。
そして背後から聞こえる、あまり耳にしたくない破壊音。
恐る恐る部屋の中を覗けば、般若どころか修羅の顔をした千歳が仁王立ちをしていた。
『貴様!一度ならず二度も人の団子を勝手に食うのか!』
「っ、申し訳・・・ござら・・・」
『謝罪など猿でも言えるわ!この馬鹿者が!』
「ぇ、ちょ!それは反則だろ!?」
千歳の右手に握られたものを見つけ、佐助は慌てて飛び出すがそれよりも早く千歳はそれは幸村に投げつけた。
―カカカカカッ!!
「―っ!!」
思わず幸村の顔も、佐助の顔を青ざめる。
それは当然の反応だろう、なんせ団子の串が城壁に綺麗に突き刺さっているのだから。
『・・・また同じような事をすれば・・・次は貴様の顔に刺すぞ』
ギロリと何処か北の国の軍師を髣髴させるような顔で千歳は幸村をにらみつけると、佐助に向き直る。
『茶は?』
「え、あぁ。はい、お待たせ」
『すまんな。折角佐助がくれた団子なのに半分をアイツに食われてしまった』
余程不服なのか、眉間に皺を寄せる千歳。
佐助は千歳を哀れむと同時に、学習能力の無い上司を別の意味で哀れんだ。
■その後■
『・・・ふぅ、やはり佐助の淹れる茶は美味いな』
「そう?お褒めに預かり光栄です、ってね?」
『・・・全く。私の忍びだったら昇給してやるものを』
「・・・それ、本気?」
『あぁ。何だ知らないのか?武田の忍の中では有名だぞ?真田忍隊の給料は日ノ本全土でも1・2を争う低賃金だとな』
「えぇぇぇぇぇ!?」
『因みに高給取り1位は北条の雇っている伝説の忍らしいな』
「・・・・・・嘘だろー」
『どうだ?幸村を止めて私の元に来ないか?うちの給料はまだ平均より少し上らしいからな。伝説の忍と同額は無理だが、今のお前の給料の倍近くは払えるぞ?』
「・・・、・・・」
猿飛佐助(年齢不詳)。
雇い主の幸村には悪いが、本気で転職を考えた瞬間だった。
女の子らしい女の子が書けないorz
因みにこの後幸村はしっかり、団子を食べた旨を報告され、親馬鹿なお館様に殴られたらいいと思います(^q^
「千歳の団子を食べたとはどういうことじゃ、幸村ぁぁぁぁ!」
「申し訳ございませぬ、お館様ぁぁぁぁ」
「幸村ぁぁぁぁぁ!」
「お館様ぁぁぁぁぁ!」
・・・以下エンドレスで。
※森ブログに掲載していたものを加筆修正しました
初期掲載:2010.07.14
加筆修正:2011.11.15
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