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―お前は……のだから
―完成だ!可愛い私の……
―可愛いお前には……が似合う
―お前さえいれば
こ の 国 は 世 界 は
私 の 物 に な る
『―っ!!!』
バッと飛び起きた***の額を汗が伝う。
声が酷く鮮明…なのに肝心な所は雑音で聞こえない。
暗闇の中佇む自分に男の声が話しかけて来る、そんな夢だった。
『なん…だったの?』
***が呟いた声は誰にも拾われないまま消えて行く。
外はまだ薄暗いけど、目が冴えてしまって二度寝は出来そうにない。
窓ガラスに映った自分が困ったようにこちらを見つめて来る。
仕方無く、***は用意していた着替えに手を付けた。
『…んと…これ難しい…』
慣れない服に苦労しながらも着替えを済ませ、***はそっと部屋を抜け出した。
(シエルはまだ寝てるよね…)
閉ざされたドアを眺め、途中まで伸ばした手を引っ込める。
少し悩んでから***は当ても無く屋敷の中を歩き回る事にした。
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