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「#エロ」のBL小説を読む
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シエルが屋敷に戻った日の晩、一軍テントの片隅でバシッ!と平手打ち独特の音が響いた。
叩かれた方はバランスを崩し倒れこみ、叩いた方は収まらぬ怒りを露わにしたまま声を荒げる。

「あれ程他人を信じるなって言ったのに」
「で…でもっ」

主張するのはテントの同居人と交わした「約束」
しかしその「約束」が目の前の彼の怒りを更に買ってしまった。

「だからお前はガキだって!」
「ピーター兄さん」
「ジャンボ!!」

再度振り上げられた手はジャンボの手により止められる。
止めるなと言外に含めてピーターは名前を呼ぶが、今するべきことではないと咎められてしまう。

「我々のテントに侵入していたスマイルとブラック、それに2人と互角の能力を持つスーツまでもが姿を消した。長くここにいるのは危険です」
「じゃあ先輩が戻ってきたらすぐに」
「今頃アイツはお父様の所だ。早くても3日はかかるよ」
「それじゃ手遅れになっちまうよ。早いトコ移動しよう」

ジャンボの現状把握にダガーが提案するが、ビーストに遮られてしまう。
そのビーストの発言を聞いたウェンディが早急な移動を提案するが、それを是をしなかったのは現状を冷静に把握していたジャンボだった。
彼はつい先ほどピーターに叩かれたドールの頭を撫でながら告げた。

「今回のメインターゲットは特別だとお父様はおっしゃっていました。ここにいる間に何とかしないと、失敗すればお怒りになるに違いありません」
「ジャンボの言う通りだ。今回の坊やの家は近くに街もないしロンドンにいるウチにやっちまわないと。でも今日これからじゃ往復だけで夜が明けちまう。しかたねぇ…」


―明日決行する


「とりあえずこのことをジョーカーに報告しねーと」

決まったイレギュラーの報告にビーストが名乗り出るが戦力を考えて、その役目はドールに一任された。

「ごめん姉貴。オレのせいで」
「アンタは悪くない…」

テントの外、用意された移動用の馬に跨りながら謝罪を口にしたドールにビーストの呟きは届かなかったらしい。
聞き返されるが、ビーストは何でもないと一蹴し早くジョーカーの下に向かうようドールを急かした。





同じ頃、とある屋敷の上で死神が1人この1月の不平を漏らしていた。
そして眼鏡の位置を戻しながら手にしていた分厚いファイルを抱えなおし呟いた。



―しかし、明日で全てが終わる


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