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「こちらでお待ちください」

そう言われて通された部屋に呆然とした。
今まで見た事ないような家具に装飾品に、それから、それから…
とにかく『壊したら大変』の一心で何もしないようイスに腰掛けて……

『うわぁっ!?』

……なんか思った以上にフカフカし過ぎで声が出た。

「……主人を呼んで来ます」
『あ、はい…』

部屋から出て行った黒い人が笑いを堪えていたのは、絶対見間違いじゃないと思う……

けど、これからどうなるのかが凄く不安。
町に戻されるだけなら良いけど……


大金持ちは変な趣味を持ってる人がいるからね


って言われたから、変な趣味とか言うのに付き合わされるのかな…
でも1階だから窓から逃げ出す事も最悪出来るかな?なんて考えてみる。

お屋敷での暮らしは憬れるけど、私には世界が違いすぎる。
今はただ町にさえ戻れたら良い、それだけを願った。



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