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5時43分。
あんなに激しかった騒ぎの音がピタリと止み、部屋に静寂が訪れた。
同時に***を押さえながら銃を構えるアズーロの手が微かに震え始める。

「***、大丈夫か?」
『だ、大丈夫だよ』

力なく笑う***にシエルは眉間に皺を寄せる。
今の***はどう見ても大丈夫とは言えないほど顔色が悪い。
2か月前に何かあっただろうか、と思い出しながらシエルは近付いて来る足音の到着を待つ。
やがて足音は止まり、ギィィと音を立てながらゆっくりとドアが開いた。







「お邪魔致しております

 主人と客人を迎えに参りました」

声の主、セバスチャンはゆっくりと歩き、立ち止まると深く深くお辞儀する。
入って来たのが燕尾服を着た男だと言う事にアズーロは一瞬戸惑いをみせた。

「は…は。驚いたな。
 あれだけの人数一人でヤっちまうなんて、参ったね。

 どんな大男が現れるかと思えば、燕尾服の優男とは

 あんた何者だ?
 ファントムハイヴに雇われた殺し屋か?
 特殊部隊上がりの傭兵か?
 ただの執事じゃねぇだろう」
「いえ、私はあくまで執事ですよ
 ただのね」

銃を向けられていると言うのに表情一つ変えずにセバスチャンは答える。

「そうかい…
 とにかく俺ァ、あんたとヤりあうつもりはねぇよ、執事さん

 変わりと言っちゃ何だが…コイツが相手するぜ」
『やっ!』
「***様!」

グイッと髪を引っ張られる形でアズーロに突き出され、***は痛みに顔をしかめる。

「全く女王の番犬も馬鹿だよなぁ!コイツが何者かも分からないで手元に置いてるなんてよ
 コイツは俺らマフィアや、表向きは素直だが裏じゃ狂った貴族達の期待を背負ってたんだよ
 …女王やその番犬を倒す為の兵器としてな」


―コレ、何だか分かるか?


アズーロの手元で金属辺が鈍く光る。
それは見慣れていた***のプレート。

「No.31。これはコイツの識別番号
 ***。これはコイツの名前、そのまんまだな
 最後CN。傷も付いてるし判らなかったんだろうな」

見下す、それが一番適した笑いをアズーロが見せる。
ほんの少しセバスチャンが眉間に皺を寄せたが、そんな事には気付きもしない。

「これはな、コイツを動かす鍵さ」


一瞬訪れる沈黙。


そしてゆっくりとアズーロが口を開いた。


「Code Name=killer kitty
 目の前の男を殺れ」

トンッと***は背を押され、フラリと前に歩み出た。



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