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「あ〜〜、やられてら

 電線パスタは相当お気に召したらしいな。ネズミ共め」
「またネズミですだか?」
「今年は多いねぇ」
『今日ので何回目だっけ?』

ここ最近、ロンドンでネズミが異常発生している為、ここファントムハイヴ家も例に漏れず、その被害に遭っていた。
頻繁に起こる停電。最初こそ***は慌てたが、次第に慣れて今ではバルドの修理作業を見守る事にしている。

「こんなにしょっちゅう停電させられてたんじゃあ商売あがったりだぜ」
「何の商売ですだか」
『配線工事屋さんとか?』
「あっ!」

作業を終え脚立から降りて来たバルドの後ろを影が横切る。

「ネズミ見っけ!!」
『えええっ!?』

ガシッと近くにあった胸像を掴み、フィニが力任せにそれを投げつける。
豪快な破壊音と共に破片が飛び散り、粉塵に紛れてネズミが飛び出した。

「あっ、逃げられちゃいました!」
「てへっ☆じゃねェ!オレと***の事も殺す気かッ………って***は
どこに行ったんだ?」
「あれ?」
「さっきまで私の横にいたはずですだが…」

粉塵が落ち着き、視界が明確になったが***の姿は確認出来なかった。










チョロチョロと動く獲物、それを追いかけるは自分自身。
何も考えない、考えるのは捕まえるタイミングだけ。
確実に、絶対外さない瞬間を体の感覚全てを使い見つけ出す。

『それっ!!』

バッと勢い良く飛び出す。
もちろんネズミは手の内に。

『捕まえたっ♪』
「…何をしてるんです?」

一瞬ビクリと体が反応して振り向けば、案の定そこにいたのはセバスチャンだった。

『えっとネズミ捕り…』
「死にかけてますけど?」

そう言いセバスチャンが指差す先には、***に強く握り締められグッタリとしたネズミ。

『あわわっ、どうしよう』
「窓を開けますから、そこから投げてください」

言われた通り、***は開けて貰った窓からネズミを放り投げる。
取りあえず茂みに落ちたから死んではいない、と思う事にした。

「お願いですから素手でネズミを触らないでくださいね。ネズミは何を持っているか判りませんから」
『はぁい…』
「取りあえず手を洗って書斎でお待ちください。坊ちゃんの都合がついたらおやつをお持ちしますよ」
『わぁ、やったぁ♪』

バタパタと廊下を走って行く***を見つめながらセバスチャンは「子供ですねぇ」と漏らした。



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