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朝はシエルに帝王学の先生が来るとかで部屋へ本を読みに行くことは出来ない。
仕方なく***が屋敷の入口に座り込み、以前読んだ本を読みかえしていると目の前に影がさした。
『?』
「失礼、"ふぁんとむはいぶ"家とやらは此処か?」
良く言えば白地に染料を無造作にかけたような独創的な柄、悪く言えば只のマーブル模様の服を着た変な男が立っていた。
髪はやたら長く、丸出しにした額には2列の点(?)が打って有る。
目の前の男にどうすれば良いのか***が悩んでいると男が再び口を開いた。
「我は"せばすちゃん"とやらと対決するため、秘境から出てきた拳法の達人。
もう一度問う。"ふぁんとむはいぶ"家は此処か?」
―あぁ、この人が……
そう言えば「坊ちゃんとの賭けで昼から拳法の達人と対決するんですよ」なんて朝に聞いた気がする。
『此処であってます。少し待ってて下さい』
読んでいた本を閉じて***はセバスチャンに今日の対決相手の到着を知らせに走った。
いつもの事ながら、あの達人もまさか自分を出迎えた執事が対決相手だとは思いもしないのだろう…
『今日も執事さんの勝ちかなぁ〜』
分かり切った勝負結果を考え、***は少し足を急がせた。
昼食後。
屋敷の正面玄関に集う住人達。
***はシエルの向かい側にイスを置いて座っていた。
目の前ではセバスチャンと拳法の達人が向かい合っている。
(案の定達人は対戦相手を知った瞬間かなりビックリしていた)
ジョワァァン!!
銅鑼の音が響き試合の開始を告げた。
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