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「***、この部屋には結構本があるんだが…それぐらい読んだんだ?」
新聞を読みながらシエルは***に問いかける。
彼の記憶によれば、***は1日の大半をココで過ごしている。
そして常に本を読んでいて、尚且つその本の回転は早い。
『1階の…半分ぐらいかな?
手当たり次第読んでるから、大雑把にだけど。
そこの2つの本棚のは全部読んだよ?』
「ほ、本当か?」
『うん』
だって本読むの楽しいしね、と笑顔で***は答える。
しかしシエルの内心は穏やかじゃない。
(半分?!しかもたった5日で!
この部屋にある本はかなりの量だぞ?!
いくら1日中ココにいるからと言っても…)
―流石に無茶すぎるだろ…
『無茶じゃないよ?夜もお部屋で少し読んでるもん』
「え?」
『シエル「流石に無茶すぎるだろ」って言ってたよ?』
「そ、そうか」
恥ずかしさを誤魔化す様にシエルは新聞をめくる。
『でも、やっぱり覚えるのはちょっと大変かなぁー」
「……は?」
今、***はなんと言ったのだろうか。
聞き間違えじゃ無ければ、「覚える」と言っていなかったか?
『好きな本とか面白い本は全部勝手に覚えられるのになぁ…
難しい本とかはちっとも頭に入らないや』
「***?まさか今まで読んだ本を…」
『うん、内容とか全部覚えてるよ?』
ヘニャと笑いながら***は答えた。
「特技と言うか、才能の一種だな」
読む気をなくした新聞を畳み、シエルはそう呟いた。
日常の1コマ END
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