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夜、自室で本を読んでいたシエルの元にセバスチャンがやって来た。
シエルは読書の手を休め、セバスチャンに視線を投げる。
「***は寝たのか?」
「えぇ、すぐに」
それが何か?とセバスチャンと聞き返す。
シエルは少し考えた後、口を開いた。
「***を…どう思う?」
「どう、とは?」
「言い方を変えよう、***は何者だと思う?」
シエルの真っ直ぐな瞳がセバスチャンを捕らえる。
対してセバスチャンはフッと口許を緩めた。
「そうですねぇ…彼女は人ですが人では無い何かを持ってますね」
「!!」
【人だけれど人ではない物を持っている】
それはシエルを驚かすには十分すぎた。
「***は…この2か月以外の記憶がないらしい
セバスチャン、***に関しての情報を集めろ
これは命令だ」
「イエス、マイロード
時に坊ちゃん?」
「何だ?」
「フィニアンが梯子を壊したので新しい梯子を買いに行きたいのですが」
「……またか」
ついこの間はメイリンが食器を木っ端微塵にしたと言う報告を聞いたような気が
する。
その前はバルドが厨房丸ごと炭にしたとか聞いたような……
「なんでうちの使用人は使えないんだ…」
ガックリと小さな当主は肩を落とした。
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