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「#エロ」のBL小説を読む
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彼女に言われた道を歩いて行く。
暫くすれば広大な庭が見えて来て、 同時に彼女の言う「庭師」の姿も見えた。

『あ、あのっ…』
「はーい?わぁ可愛い子!どうしたの?」

明るい金髪が印象的な庭師は愛想の良い笑顔を***に向けた。

『えっと…何て言うか…』

―客間に帰りたいんです

そう言おうとした瞬間だ。

「あーー!!見つけただよ!」
『「!!」』

向こうから猛スピードで走って来る見覚えのある家女中。

「え、メイリンさんどうしたんですか!?」
「その子!泥棒ですだ!さっき私が屋敷の中でばったり会っ」

その先はメイリンと呼ばれた家女中が転んだ為に聞こえない。
が、庭師は***を泥棒と認識してしまったらしい。
現に笑顔で「泥棒を捕まえたらご褒美貰えるかな」何て言っている。
しかも***との距離も少しずつ近くなって来ていた。

『っ…うぁぁぁっ!』
「あ!こら待てっ!」

抑止の声なんて聞いてられない。
捕まったらそこまで。
昨日まで路地裏で住んでいた体がいち早く反応して***は走り出す。
そして目の前にあった木に滑るように登り、しがみついた。

「降りて来てください!」
「早く降りるだよ!」

下では庭師とメイリンがギャンギャン騒いでいる。
しかし降りろと言われ、降りる程***も馬鹿ではない。
……泥棒と勘違いされているなら尚更だ。

「あっ!セバスチャンさんを呼んで来ないと!」
「私呼んで来るだ!!」
「じゃぁ僕見張っておきます!!」


―貴方も一緒に呼んでいけば良いのに!

ワタワタと走って行くメイリンを視線だけで追いかける。

『…ぁ』

視線の先に写った人影を確認して思わず***は声を上げた。

「フィニアン!メイリン!何をしているんですか!」
「「セバスチャンさん!」」

どこか焦りと怒りを滲ませてセバスチャンは***のいる木の下までやって来た。
その様子を***はただジッと見ている。今下手に動きたくは無かった。
下ではメイリンが泥棒を見つけたと言い、それに庭師(フィニアンと呼ばれていた)が泥棒が木の上にいると続ける。
二人の言葉に視線を上げたセバスチャンの顔が一瞬驚きに染まった。

「なっ…***様!?」
『あぅ…し、執事さん…』

***はようやく見知った人物を確認して、少し安心した。

「何故そこに…あぁ詳しい事は後で聞きます。取りあえず下りて来てください」
『えっ…あ、その…』
「どうかしましたか?」

―安心して我に返ったらこんな高い所だったなんて…

『ご、ごめんなさいっ…下りれないですっ…』

木にしがみ付きながら震える声で***はそう言った。



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