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「#エロ」のBL小説を読む
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(2/4)

『・・・む、ぅ・・・』

ゆらり、ゆらり・・・。

「・・・眠いなら部屋で寝たらどうだ?無理矢理起こされたんだ、寝足りないんだろう?」
『うん。で、も・・・部屋、寒いし・・・』

うつら、うつら・・・

「ストーブに火を入れてもらえば良いだろう?」
『そしたら、夕飯食べ、損ねちゃう・・・』
「起きたら用意させる。心配するな」
『うん、うん・・・』
「・・・、・・・」


―もう殆ど聞いちゃいないな、このまま放っておくか。


組んでいた足を組みなおし、シエルはひとつ息を吐いた。
ソファに文字通り、力なく座り込んでいる***は既に夢の中一歩手前である。

アフタヌーンティを楽しんだ直後。
まるで糸が切れたかのように、夢の世界へ旅立ち始めた***。
とは言え流石にこの時間から眠ると、夕飯が気になるのか睡魔と闘ってはいるようだが、勝機は殆どないらしい。
暇つぶしも兼ねて誘うかとシエルが用意していたトランプの出番もどうやら無さそうだ。


―しかし、よく寝るな・・・


頬肘をつきながら、シエルは遂に寝息を立て始めた***をみる。
本人曰く「冬は寒いから」と言うことらしいが、それにしたって寝過ぎである。
かといって夜更かしはしない(むしろシエルより早く寝る)
まさに1日の大半を寝て過ごしている状況。
多忙を極めるシエルは羨ましさを覚えるが、ココまで寝ている時間が多いと心配を覚えてくるのも事実。

「何かかけるものでも持ってきてやるか・・・」

使いそびれたカードゲームを手にシエルは立ち上がり、その場を離れようとして視線を感じる。
見ればボンヤリとした焦点の定まっていない***と目が合った。

「・・・起きたのか?」
『ん。なんか、静かだな・・・って』
「静か?」
『そう、食器の割れる音とか・・・爆発する音が無いなぁ、って・・・』

眠そうな目のまま厨房の方向を向いた***にシエルはあぁと納得する。

「・・・あいつらだってミスをしない時ぐらいあるんじゃないか?」
『んー、そう、だね』
「で?また寝るのか?」
『ううん、頑張って起きる』
「そうか」

それじゃぁ、とソファに腰掛けなおしてシエルはトランプを差し出す。
暇つぶしに付き合えというシエルに***は一つ返事でOkした。






















「・・・意外だ。いや妥当なのか・・・?」
『うぅ・・・』

ババ抜き、スピード、ポーカーその他色々2人で遊べるものは全て試した、が。

「まさか・・・神経衰弱意外まるでダメだなんてな・・・」
『た、多分2人だからだよ・・・!もっと人数がいれば、多分・・・大丈夫・・・、・・・だと思う』

尻すぼみしていく***の言葉だが、無理も無い。
ババ抜きはジョーカーが来た時の表情が一目瞭然。
スピードは慣れていないことを考慮しても、遅い。
そしてポーカーは役は覚えても強さが良くわかっていないらしい。
あまりの弱さに苛めているような気分がして、シエルが駄目元で神経衰弱をすれば立場は逆転。
1度開けた札は全て記憶してしまい、文字通りの圧勝。

「・・・本邸に戻れば、あいつ等相手に練習しろ」
『うん、お願いしてみる・・・』

お願いしてみる、とは言うものの。
***の視線はどこか遠いものを眺めるものだった。


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