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(2/4)


時刻は夕方。
一旦止んだ雪が再び降り始めた頃、ようやく屋敷の主が戻ってきた。

「くたびれ損だった・・・」
「あの中に犯人がいるかもしれません。
 ランドル様からのご連絡をお待ちましょう」
「ったく!こんな下らん事件でいちいちロンドンに呼び出されていてはキリがない!」
「ははっ。女王に害が及ぶ可能性があれば、吠えなきゃならない
 番犬の辛いトコだね伯爵」

セバスチャンにコートを預け、怒りながら歩くシエルの後を劉が追う。
と、暫くすれば使用人ズがひょこりと顔を見せた。

「今回は使用人も連れて来たのかい?」
「ええ、屋敷に置いておくと後々厄介ですので」
「ふーん・・・?で、***はお留守番かい?」
「いえ?今回は全員こちらに来ましたから、***様も一緒ですよ」

劉に指摘されてセバスチャンはそう言えば、と辺りを見渡すが***の姿はない。
一瞬何かあったのかと心配したが、***が寒さに弱い事を思い出し、すぐに頭を切り替えた。

「さて!寒い中お疲れ様でございました。すぐにお茶に致しましょう」
「そうだな」
「イギリス式よりチャイの方がいいな」
「そうだな」

そうだな、と返事をしたがシエルは何かおかしいと振り返る。


「「「「え?」」」」


その場にいたほぼ全員の声が重なる。そしてその視線の先。
いつから付いて来たのか、二人組のインド人−ソーマとアグニーが立っていた。


「なっ、なっ、なんでお前がココに!?」
「何故ってさっき知り合っただろう」
「知り合ったって・・・!」
「それに助けてもやった」

慌てるシエルとは反対に、屋敷の中を見渡しながらソーマはさらりと答える。

「インドでは恩人は家に招いてもてなすのが常識だ。
 "家宝を売ってでも客人をもてなせ"と言う言葉もある
 おい、ベットはどこだ?」
「なんでベッドなんだい?」
「我が国では客人はベッドに通して団欒するものだぞ」

劉の問いかけに、ベッドを探しながら答えるソーマ。
直後、2階から2人分の声が降って来た。

『きゃぁぁぁぁ!?』
「も、申し訳ありません!」
「アグニ?・・・と女の声?」
「あれー?***は2階にいたんだね」
「あぁぁぁ・・・」
「何事ですか・・・」

皆がそれぞれバラバラな反応を示しながら、ぞろぞろと声のした2階へ上がっていく。
辿りついた先は***にと宛がわれている部屋の前。
開けっ放しのドアの前で立ち尽くしているアグニと、枕を投げようとしたまま固まっている***がいた。



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