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「・・・っと、・・さ・・よ!」
『ん〜・・・』
朦朧とする意識の中、何だか呼ばれた気がして***は身をよじる。
「ちょっと!***ってば、貴女本当に寝ちゃったのね!?」
『―!リ、リジー?!』
ゆさゆさと乱暴に揺り起こされ、***は慌てて飛び起きる。
窓の外を見れば、もう少しで陽が落ちる頃だ。
・・・随分寝てしまったらしい。
「私帰るから挨拶に来たのに、寝てるんだから驚いたわよ」
『あ、う・・・ごめんね?』
申し訳無さそうに頭を下げれば、呆れたため息が一つ。
「良いわよ、気にしないわ」
ポスンと***の横にエリザベスが腰掛ける。
・・・帰ると言っていなかっただろうか?
「シエルね、本当にすこーーしだけ元気でた・・・かも」
『本当?』
「一瞬だけね、笑ってくれたの」
嬉しかった、とエリザベスが付け足す。
「きっと***のおかげよ、ありがとう」
『そんな私何もしてないよ・・・!』
「ううん、***が一緒に考えてくれなきゃダメだったわ」
静かに首を横に振り、エリザベスが***の手を取る。
「1つだけ、教えてあげる。
お母様が手紙を出すと思うのだけど・・・
今度ココに遊びに来る日ってね、シエルの誕生日なの」
『え』
「でもきっとシエル・・・忘れてるだろうから、内緒にしててね?」
『うん、判った。約束、だね』
「えぇ」
クスクスと二人で笑いあう。
そして部屋の外でエリザベスを呼ぶ声がしたので、エリザベスは慌てて立ち上がった。
「また来るわね、***!」
『またね!』
部屋の外に出て、エリザベスを見送る。
声の主のシエルは何やら不思議そうな表情を見せたが、特に何も聞いては来なかった。
そして数日後。
エリザベスの母親から件の手紙が届いたのだった。
心配と秘密 END
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