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「・・・さぁ、どうしましょう」
『う、うーん・・・』
コチコチと時計の秒針の音が嫌にうるさく響く。
考え込んで数十分、中々良い案が思い浮かんで来ない。
過去にエリザベスが挑戦したことは、皆失敗している。
だから・・・とそれを除くと何も出来そうな物がなかったのだ。
『えっと・・・チェスで遊んでみるとか』
「ダメ!私、チェス判らないもの」
『じゃぁトランプ』
「・・・ゲームは勝てない気がするわ」
『そう、だね』
相手はゲームの天才。
挑んでいったって、負けに行くようなものだ。
もっともゲームをしにいく訳ではないのだけど。
『でもー・・・』
「?」
『別にゲームで勝つのが狙いじゃないよね?』
「えぇ、シエルに元気になって欲しいのよ?」
今更何を、と言う顔でエリザベスは***の方を向いた。
***はといえば、何か考え込んだ様子だった。
『だったら別にゲームを持ちかけても良いんじゃないかなぁ・・・』
「そうかしら」
『うん。だってエリザベスがお願いしたら・・・
多分シエルもダメとは言えない・・・と思う』
最後の方はゴニョゴニョと口ごもる。
自分でもどうして、こんな事を言っているのか判らない。
それでもエリザベスは乗り気な様子を見せてくれた。
「理由、何にする?」
『え、あーっと・・・私が寝ちゃって暇とかで良いんじゃない?』
「・・・***。貴女は一緒に遊ばないの?」
『折角エリザベスが遊びにきたんだもの。邪魔しちゃ悪いもん』
ヘラリと***が笑う。
エリザベスは少し不服そうだったが、諦めたのか1人立ち上がった。
「じゃぁ、1つ約束して」
『?』
「リジーって呼んで」
『え。うん、えっと・・・リジー?』
少し間が開いたものの、リジーと呼ばれた事にエリザベスは満足そうに笑みを見せる。
「行ってくるわね」
『うん、行ってらっしゃい』
部屋を出るエリザベスを見送り、***はベッドに身を預ける。
『か、考えるのって頭使う・・・』
横目で時間を確認すれば、そろそろお茶の時間。
けれどそれを待てない程の睡魔に襲われ、***はゆっくりを目を閉じた。
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