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「あら」
『え』
ドアを開けた瞬間、何故かエリザベスが立っていた。
そして***が戸惑う間に、エリザベスは勝手に部屋の中に入ってきた。
「ココが貴女の部屋だったのね!探してたのよ?」
『探し、てた・・・?』
ぐるりと部屋を見渡しながら、嬉々として喋るエリザベスに***は首を傾げる。
指輪の事件以降特に関わりを持っていないし、会いに来ると言う事も聞いていなかった。
「お願いがあるの」
『な、何?』
始めて見るエリザベスの真剣な顔。
そのまま両手を握られ、***は少したじろいだ。
「シエルを・・・元気にしてあげたいの」
『エリザベス・・・?』
「あのねアンおば様が一番可愛がっていたのって、シエルなの。
だから・・・きっとシエル・・・一番ショック受けてるんじゃないかなって・・・」
握り締めた***の手を見つめながら、少し悲しそうにエリザベスが笑みを見せる。
「でも私だと、いつもやりすぎちゃうし・・・」
『うー・・・あぁ・・・』
エリザベスの言葉に***は否定出来ないが、肯定も出来ない。
彼女自身に悪意が無いと言う事を、***は判っているつもりだ。
そして今、エリザベスが心の底から悩んでいると言う事も。
(だって、心配なんだよね?)
シエルが大好きで、大切だから。
だから元気になって欲しいと願うのだと思う。
それは***も同じだった。
「ねぇ***。貴女手伝ってくれる?」
『うん。私もシエルに元気になってほしいし』
「じゃぁ決まりね!!」
パァァァと表情を明るくさせ、エリザベスは嬉しそうに微笑んだ。
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