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(2/5)

『痛い・・・』

走る、なんて無謀な事をしてしまったが故に、悲鳴をあげた足を擦って労わる。
這い上がるようにしてベットに登ったけど、多分これ以上は動けないだろう。
もしもシエルが怒りに来たら、もう逃げられない。

『どうしたら良いの・・・』

頭がパニックになって、何も考えられない。
考えられないのが悔しくて、涙が出る。
その事がどうしようもなく、苛立ってくる。
そんな事に苛立つ自分が、よく判らない。
判らなくなって、頭がパニックになる。

見事なまでの悪循環に***は陥っていた。

『わかんない、判んない、判んないよぉ!!』

何も考えずに傍にあった枕を力任せに投げつける。
けれど、いつまで経っても落下音がしない。
そのことに***が不審がっていると、不意に声がした。





「・・・随分な歓迎ですねぇ」
『あ、執事さん・・・』

ドアの直ぐ近くで、枕を受け止めていたセバスチャンが立っていた。

「何が判らないのです?」
『・・・』

問いかけに答えない***に肩をすくめ、セバスチャンはベットへと向かう。
彼が一歩一歩進むたびに、***はジリジリと壁の方へ逃げようとした。

「何もしませんよ。ただ・・・心配なんです」

枕をベット元に返し、怯えた***の手に触れた。

「あぁ、ほら・・・こんなに痛々しい」
『・・・』
「痛くはありませんか?」

噛みすぎて、ボロボロになった***の爪先を労わりながらセバスチャンが問う。

「それに・・・また泣いていましたね。まだ涙が残っています」

目尻に残った涙を拭ってやり、セバスチャンは他にも***に言葉をかける。

・・・ゆっくりと彼女の本心を聞き出すために。



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