no title | ナノ


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「…ふう」

やり遂げた、いや…楽しんだ。
そんな笑顔でセバスチャンが軽く額の汗を拭う。
その彼の足下では徹底的に顔を殴られ、ボロボロになったグレルが横たわっていた。

「お…おぼえてらっひゃい…」
「おや…さすが死神
 打撲では死にませんか
 ですが…

 これではどうでしょう?」

少し離れた所に落ちていた死神の鎌を、セバスチャンが手にする。

「…!?」
「すべてが切れる死神の鎌
 という事は死神も切れるのでは?」

ブチッと噛んでいた燕尾服を簡単に引き千切り、セバスチャンはグレルの元へ歩いて行く。
グレルも逃げようとはするが体が言う事を聞かず、その距離は縮まる一方だった。

「な…何考えっ…
 やめなさいよっ…ギャッ」

グシャリ、と容赦無くセバスチャンがグレルの顔を踏み付けた。

「足蹴にされるのは御免ですが、するのはいい気分ですね」

ふふっと笑うセバスチャンの足に力が入る。当然グレルが下で悲鳴を上げても気にする風は無い。

「なかなかいい声で啼くじゃないですか
 ご褒美に」

ギャラララと再び死神の鎌が動き出す。

「貴方のお気に入りの玩具でイかせて差し上げます」
「お願っ…お願い゛ゼバズちゃ…やめてえっ」
「嫌です」

にっこり。
そう音が出る程の笑顔でセバスチャンはグレルの懇願を一蹴。
そして死神の鎌を振り上げた。


「や、やめ、やめてえええええ!!!」



悲鳴を引き裂くように振り降ろされる死神の鎌。



―ガキィン!!


しかし、あと数センチと言う所で邪魔が入った。
金属同士がぶつかる独特な音が響き、地面に高枝ハサミが突き刺さる。
邪魔をするそれを切断しようと空回る死神の鎌。
驚いて振り向いたセバスチャンの先には、高枝ハサミをこっちに伸ばし住宅の屋上に立つ人影がいた。


「お話し中失礼致します」


人影が一言そう言った。


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