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「#エロ」のBL小説を読む
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(2/8)

「***チャンって次が読めないわネ
 しっかり隠れてると思えば、殺意むき出しにするし
 あのまま落ちるかと思えば、ぎりぎりで体制立て直してるし
 …ケド、あの傷じゃぁもうダメね」

残念だワ、と短く呟き、下を眺めていたグレルは顔を上げ、ニヤリと笑う。

「さ。おまたせ、セバスちゃん。
 …どう、さっきの一撃は?」
「最低、ですね」

軽く咳き込んだ後、セバスチャンはグレルと対峙する。

「本当はその澄ました顔を狙いたかったんだけど、距離が足りなかったワ
 でも…今からなら、いくらでも狙えるわねッ!」

ギャララッと動き出した死神の鎌を合図に、悪魔と死神の対決が再び幕を開ける。
先にグレルが死神の鎌を薙ぐが、直後セバスチャンは上に飛んでそれを避けた。

「悪魔と死神

 やっぱりアタシ達分かり合えないのかしら
 魂を全て回収するのが死神の仕事なら、悪魔はその魂を掠め取って食べてしまう害獣!」

振り下ろされるセバスチャンの蹴りを避け、今度はグレルが地を蹴り、セバスチャンが追いかける。

「想っても報われない…まるで


 ロミオとジュリエットの悲劇だわ!!」

一人妄想に入ったグレルの後ろに、ロミオとジュリエットに扮したセバスチャンとグレルが映る。
その発言に、映像にセバスチャンは一瞬じょわっと鳥肌を立てた。

「私と貴方が主演ではシェークスピアも嘆くでしょうね!」
「ああセバスちゃん!どうして貴方はセバスちゃんなの?
 主人からもらったその忌まわしい名を捨てて、アタシだけを見てくれたなら!」

手を差し出すグレルにセバスチャンは微かに笑う。

「ただ一言
 主人が私を「セバスチャン」と呼んだ時から、その言葉こそ新しき洗礼にして契約
 その日から私は「セバスチャン」ですよ

 月に誓ってね」

住宅の屋上に着地し、月をバックにセバスチャンが告げる。
そして少し遅れて同じ場所にグレルも降立った。

「月に誓うなんて不誠実な男ね

 アナタの瞳は本当には何も愛していない穢れた瞳
 無垢な魂を卑しい手と唇で汚す悪魔


 いい…いいわ…
 ゾクゾクするワ、セバスちゃん!
 アナタの子供なら産める気がする!」
「やめて下さい、気持ち悪い」

生物学上無理ですから。
一人身悶えるグレルにセバスチャンは心底嫌そうな顔を見せた。

「あぁん、冷たいのね!
 美しい暴君!
 天使のような悪魔!!
 鳩の羽をした烏!!!

 狼のように貪欲なアタシの子羊、セバスちゃん!!」

ギャララと建物をグレルの繰る死神の鎌が抉り、その手をセバスチャンは片足で踏み付けた。

「ああ…セバスちゃん…
 朝なんかこなければいいのに
 そうしたらいつまでも、こうして二人殺(あい)し合っていられるのに

 でも、アバンチュールはここまでよ」

スッとセバスチャンとグレルの距離が縮まった。


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