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「さぁ、仕事の時間だ、行ってきなさい?Killer-Kitty」
「お帰り、***、ご苦労様」
肝心なところが砂嵐で映らないまま、何度も同じ事が繰り返される。
そして会話から推測するに、2年が経ったのだろう。変化が起きた。
「…***…様?」
聞き慣れた、懐かしい声に映像が突如鮮明になる。
声の主は廊下で佇み、こちらを驚きの目で見つめていた。
それだけなら感動の再会と言えるだろうが、周りの状態が否定する。
人だったものが幾つも転がり、床も壁も赤に染まっていた。
『え、ぁ…お姉さん?』
震える***の声に***の元メイドだった彼女は、ゆっくりと首を縦に振った。
『なんで私、ここに?…早くおうちに帰らなきゃ…
それにどうして…***の手、真っ赤なの…』
「こんなになって…可哀想に…何も出来なくてごめんなさい…」
『お姉、さん?』
フラフラ歩いて来た彼女は、そのまま***を強く抱き締める。
「辛いかもしれないけど…思い出して
貴女が犯してしまった罪を」
『え?』
「貴女は"お仕事"で今まで何をして来たの?」
…さぁ、思い出して…
その言葉を引き金に、映像が目まぐるしく変わる。
―逃げろ!
逃げようとしても適わず。
―そんな、なぜ。待ってくれ!私は忠誠をちかっ…
縋っても、切り落とされ。
―この殺人!
叫んでも、生き延びれず。
―ちきしょう!裏切りやがったな!
恨んでも、死は目前で…
そんな彼らを容赦無く消して行くのは、他でもない***自身。
断末魔の叫びも、飛び散る赤い飛沫にも、意識を向けず、ただ黙って仕事をこなす。
「何故…どうし…グッ!!」
『何故?お父様の為だもの』
感情の無い声で***は呟き、息絶えたソレを爪先で軽く蹴った。
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