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鮮やかな赤が、徐々にフィルムへと形を変えて行く。
さぁ、走馬灯劇場のはじまりハジマリ…
「さぁ紳士淑女の皆様、本日はようこそ御集まり頂きました!」
何も映らないフィルム、声だけが響く。
「こちらは今し方手に入った商品です!
黒い髪と黒い瞳は遥か東で生まれた証、しかし多少ならこちらの言葉も理解できましょう!
まだ幼いので長い目で奴隷に。もちろん儀式や愛玩にも!何に使われるかはお客様次第
そして今宵は特別に!是非、皆様お近くで商品をご覧下さい!」
バサリと布が剥がされる音と共にフィルムに映像がついた。
檻越しに仮面を付けた何人もの男女がこちらに近づき、好奇と狂気の混じった視線で見つめてくる。
画面から伝わるのは恐怖だけ。
「如何でしたか?さぁスタートは500から!!」
開始を告げる木槌の音と共に上がる手と数字。
「3000…はい3100、3400……現在3400が最高です。それ以上はいらっしゃいませんか?」
その声に会場が無言に包まれる。
「それではこちらは34「5000」っ!5000が出ました!」
終了の声を遮っての提示にその場は一時騒然とし、再び静かになる。
他に無いかと声は響くが、手も声も上がらず、それは5000で終了した。
また映像が消え、今度は別の声と共に新たな映像が映る。
馬蹄の音や車輪の音、恐らく馬車の中なのだろう。
「名前は?」
優しそうな笑みと共に男が問掛け、こちらを見つめる。
しばらくして『…***』と震える声が返って来た。
「そうか、***は私の子になるんだよ」
『…じゃぁ…お父さん?』
その答えに対し、男は手を伸ばし***の頭を優しく撫でた。
「あぁ、そうだ。***は家でお手伝いをしてもらうよ」
『おてつだい?』
「そう。難しい事は無い、簡単な事さ。」
"だから心配しなくても良いんだよ"
その声と同時にまた場所が変わった。
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