no title | ナノ


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―ドッ

鈍い音を立て、マダムの胸に死神の鎌が突き刺さる。

「ガッカリよ、マダム・レッド

 ただの女になったアンタに興味ないわ」

死神の鎌を抜かれ、投げ飛ばされるマダムの体。
あふれ出す血は彼女の記憶を再生して行く…


















「アタシは返り血で真っ赤に染まったアナタが好きだったのよ。マダム・レッド

 下らない情に流されるアンタに興味ないわ」

ドサリとマダムの体が地面に落ちる。

「アリバイ作りの手助けもしてあげた
 アンタのためと思って死神のルールを破って、リストにない女まで殺してあげたのに
 ガッカリよ!」

「結局そこらの女と一緒だったのね
 アンタに赤を着る資格ないワ」

横たわるマダムを見下し、その上着をグレルは奪い取る。

「チープな人生劇場はこれでオシマイ
 さようなら マダム」

上着を羽織り、無言でその場を立ち去るグレル。
止まない雨の中、シエルがマダムの瞼をそっと閉ざしてやった。


「セバスチャン 何してる」
「…?」

判らない、という顔のセバスチャンにシエルはマダムを見つめたまま言葉を続ける。

「僕は"切り裂きジャックを狩れ"と言ったんだ
 まだ終わってない」

ピクッとグレルが足を止め、シエルが真っ直ぐセバスチャンを見る。

「ぐずぐずするな
 もう一匹を早く仕留めろ」

その言葉にセバスチャンは短く

「…御意」

そう、答えた。


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