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「なっ…!?」
『危ないっ!』
襲いかかったのはグレルのチェーンソー。
***がシエルを庇い、更に間一髪でセバスチャンが受け止める。
「なっ…なんだあれは!?」
「死神は全員魂を狩る為の道具を持っています
その名は「死神の鎌(デスサイズ)」
あのような形は初めて見ますが…
「死神の鎌」は厄介ですね」
雨に濡れた前髪を掻きあげながらセバスチャンが説明する。
「アタシに鎌なんてダサイ道具似合わないデショ?
アタシ用にカスタマイズしたの
魂の断末魔と最高のハーモニーを奏でるアタシ専用の「死神の鎌」!
もちろん切れ味は保証付きよ
どんな存在でも切り刻める神だけに許された道具!」
「ずっと大人しくしてたから身体が鈍っちゃってるの
久々に激しい運動したいワ、ア・ナ・タと♪」
「気色悪い事言わないで頂けますか、それに今勤務中ですので」
「あーんストイック!
そんなトコロがまたたまらないわぁ、セバスちゃん♪」
セバスチャンはピシャリと言い退けたが、逆効果だったのか、グレルは嬉しそうに死神の鎌を振り回した。
「アタシね、セバスちゃん赤が好きなの
髪も服も口紅も赤が一番好き
だからブスな女共を綺麗な血(アカ)でお化粧してあげるのが好きよ
女ってのは派手なら派手な程毒花のように美しいデショ?
きっと色男が薔薇色に着飾る姿は最高ヨ、セバスちゃん
アタシがアナタの奥まで暴いて美しく飛び散る薔薇色で、派手に掻き乱してアゲルわ、セバスちゃん♪」
死神の鎌を構えなおし、グレルが不適に笑う。
「死神とはただ静かに死に逝く者の魂を狩る者
執事とは影の様に主人に付き従う者
その両者の美学に反するその悪趣味さ、反吐が出ますね」
「アタシちゃんと執事として主人の為に働いてたわよォ
お仕事中はお化粧もおシャレもガマンしたしっ」
「呆れた…貴方それでも執事ですか?」
口を尖らせ反論するグレルにセバスチャンが聞き返す。
その言葉にグレルはニィィと口角を上げた。
「これでも執事DEATH★」
「***」
『・・・ん』
「―女王と我が悪しき名において命令する!」
***が傍から1歩離れ、スルリとシエルが眼帯を外す。
「奴等を狩れ!」
「御意ご主人様」
…雨はまだ降りやまない。
犯人 END
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