no title | ナノ


(4/5)

「さて、すでに警察には連絡しておきました
 じき到着するでしょう」
「なら長居は無用だな、僕らが居ては猟犬共もいい顔をしないだろう」
「そのお姿ではなおさら…ですしね"お嬢様"」

クスッと笑うセバスチャンの洋服を***が引っ張る。

「***様?どうなされました?」
『あ、あの…この人、シエルに似てるけど…執事さんのお知り合いなんですか?』

そう言い***が指差したのは、当然ながらシエルだった。

「なっ…」

顔を引きつらせるシエルと反対に、笑いを堪えながらセバスチャンは***の肩に手を置いた。

『?』
「***様、こちらは坊ちゃん御本人ですよ?」
『う、嘘っ!!だって…こんなに可愛い女の子なのに?』
「……」
『シエル…ご、ごめんね…で、でも…可愛いよ?その格好』

本当に女の子みたい、と***が笑う。
シエルは恥ずかしさやら、ショックやらで顔を赤くした。

「とにかく!切り裂きジャック事件はこれで解決だ!
 随分とあっけなかったがな…」

シエルの言葉にセバスチャンがうっすら微笑む。
その様子に***は首を傾げるが、近付いて来る警察の音に気を取られて行った。

「どうやら警察が到着した様ですね」
『執事さん私、下で待ってます』
「分かりました。後でお迎えに上がります。・・・くれぐれもお気をつけて」
『はいっ』
「おい、***!?」

シエルが物を言い切る前に、***は近くの窓から外に飛び下りてしまった。

「あいつは…ふぁ!?」
「では私たちも参りましょう」

シエルを片手で抱き上げ、セバスチャンもその場を離れ、近くの屋根に飛び移った。


(今誰か居た気がしたんだけど…気のせいかな?)

二人が消えた屋根を見ながら、エリザベスは目を擦った。









そして翌朝。
届けられた朝刊が世間を再び賑わせるのだった……。



闇オークション END
<< >>

目次へ

[ top ]