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(3/5)

「なんだ!?」

突如消えた照明にどよめく人々。
次の瞬間、彼らは皆何者かに殴られ気を失った。

「やれやれ
 本当に捕まるしか能がありませんね、貴方は」

再び照明が灯され、そこには呆れた顔のセバスチャンがいた。

「呼べば私が来ると思って不用心すぎるのでは?」
「僕が契約書を持つ限り、僕が喚ばずともお前はどこにでも追って来るだろう?」
「…もちろん」


―「契約書」は悪魔が契約人を見失わぬ様につける「痕」

―「契約書」は目につく場所にあればある程強い執行力を持つ

―そのかわり


―絶対に悪魔から逃れられなくなる




「どこへでもお供します、最期まで」

いとも簡単にシエルを閉じ込めていた檻を曲げ、恭しくセバスチャンが言う。

「たとえこの身が滅びようとも私は絶対に貴方のお傍を離れません
 地獄の果てまでお供しましょう
 私は嘘は言いませんよ、人間の様にね」

スッとセバスチャンが指を動かせば、シエルの縄がブツンと切れる。

「…それでいい
 お前だけは僕に嘘をつくな、絶対に!」
「御意ご主人様。………おや?」
「どうした?」

すっと動いたセバスチャンの目先を追いかける。
その先にいたのは、まだ目隠しも外されずに檻の中にいた***の姿。

「***様、ですよね?」
「…あぁ。そこから出してやってくれ」












「ご無事ですか?」
『やーっと聞こえる』

セバスチャンの問い掛けに、漸く自由になれた***が不機嫌そうに答える。
今まで何も聞こえないのが相当苛立ったのか、***の足下には耳栓"だったもの"が転がっていた。
(やったのは***本人だ)

「全く…少しは気をつけろ」
『う、うん・・・?』
「貴方が言えるんですか?それは」
「……」

セバスチャンの突っ込みをシエルは聞こえなかった事にした。



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