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―やる事もないし、昼寝でもしちゃおうかなぁ。
なんて考えはあっさりと壊された。
『なぁに?』
寝入りの瞬間を邪魔され、不機嫌なまま***はシエルを見上げる。
しかしシエルはそれに動じる事なく、***の腕を掴んだ。
「ここで話すより見た方が早い、来い」
『あ、ちょっと!』
そうやってズルズルと引き摺られ辿り着いたのは、明日の為の部屋。
「あれが食べたいんだ」
ビシッとシエルが指差した先には、チョコレートで作られた暴れん坊伯爵の像(の頭)。
『高いね』
「高いだろう?」
『どうやって取るの?』
「それは***が」
『うん、あたしが。って何で!?』
***の問いにシエルは答える。
「***ならできると踏んだからさ」
『…』
確かに出来ない事は無いと思う。
***の目測でザッと4m程、跳べない距離では無い。
それでも失敗すれば悲惨な事になるのは判りきっている。
渋る***にシエルが更に言葉を投げ掛ける。
「大丈夫だ、これはゲームだからな」
『そう来ちゃう?…』
ゲームに関してシエルはほぼ無敵だ。
つまり今の状況をゲームに置き換え、失敗するはずと言いたいらしい。
―逃げられそうにないや
心の中で溜め息をつき、***は決心を固める。
『ちょっと下がってね?』
そう言えば、嬉しそうに数歩下がるシエル。
(やっぱりシエルも子どもなんだなぁ・・・)
そんな事を思いながら、***も助走をつけるために少し後退した。
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