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(せっかくディープパイが上出来でしたのに
さて、どこに「お出かけ」されたのやら…)
「セッ、セバスチャンさーん
いっ、今玄関にお手紙が」
「誰宛です?」
廊下にいるセバスチャンとぱたぱたと走って来るメイリンを屋敷の外から狙う影。
その影はセバスチャンに狙いを定め、少しずつ銃の引き金を引く手に力を入れていく。
「えと『シエル・ファントムハイヴ卿従者殿』宛ですだ
がっ!?」
自身の靴紐を踏み付けたメイリンが転ぶのと、引き金が引かれるのはほぼ同時。
―ガッシャァァアン!!
ガラスが砕ける派手な音を立てたが、銃弾はセバスチャンの髪を少し掠めるだけだった。
慌てて逃げ出す犯人と音に驚いた使用人達。
「メイリン手紙を」
パイを受け止めたセバスチャンがメイリンから手紙をもらう。
(随分品の無い招待状ですね)
“主人とガキを返して欲しくば例の物を持って、ホワイト・チャペルのバックス・ロウまで来い”
―それは手紙という名の脅迫状。
「おいおい一体どうしたってんだ!」
「大丈夫ですか!?」
バタバタと慌てた様子で走って来たバルドとフィニに大した事は無いとセバスチャンが告げる。
「私は少々ヤボ用ができました
あとコレも片付けておいて下さい」
セバスチャンが差し出したディープパイをバルドも?を浮かべながら受け取った。
「夕食までには戻ります」
そしてそう言い残すと、いつの間にか廊下からセバスチャンの姿は消えていた。
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