(5/9)
「シエルにはね。絶対青が似合うと思うの
今日シエルに持って来た服はロンドンで、お買い物してた時に一目ぼれしたのよ」
『へ、へぇ…』
イスにぐったりと腰掛けながら、先に支度が出来た***はエリザベスの話を聞き流す。
さっきからシエルの為に持って来た帽子の話とか、指輪とか、そんな話を聞かされ続けいい加減飽きて来た。
(って言うか……なんだろ、落ち着かない)
そわそわ、と言うよりはザワザワ?それも違う。
上手く言葉に表せないけど、エリザベスがシエルの事を話す度に胸がおかしくなった。
(早く…終わらないかな…)
そんな思いが通じたのか、エリザベスは支度の手伝いをしていたメイリンの方に振り向き、パーティに参加しないかと持ち掛ける。
が、メイリンは頑固拒否。
「ワッ、ワタシすんげぇ遠視で眼鏡ないと何も見えないですだよ!」
「遠くが見えていれば良いじゃない!」
『近くが見えなきゃ踊れないよ…』
二人のやりとりを見ていた***は冷静に突っ込みを入れた。
「それくらいにしておけ」
『あっ』
「シエルッ!!」
後ろに新調したての杖を持ったセバスチャンを従えシエル登場。
当然洋服はエリザベスが用意した物に着替えていた(着替えさせられた?)
「やっぱりかわいーっ♪
あたしの目にまちがいはなかったわぁっ!」
そう言いながらシエルを思いっきりエリザベスは振り回す。
「見て見て!みんなもかわいくなったでしょっ
みんなにもパーティーに出席してもらうの♪」
エリザベスの手の先にはセーラー服に身を包んだバルド
ネコ耳とカチューシャを頭につけ、半メイド服を着たフィニ
十二単とは行かないまでも、とりあえず単衣を重ねているタナカ
「それからっ見てシエル!この子、すごいでしょ?」
『ぅわっ!?』
グイッとシエルの前に突き出されるエリザベスにコーディネートされた***。
髪と同じ黒を基調にした膝丈のコルセット付ドレスは裾にレースをあしらい、
姫袖のブラウスは少し首元に高さが有り、タグを上手く隠していた。
『…変、かな』
元々高い服に慣れていないせいか、そわそわと落ち着き無さそうに***はシエル達の返事を待つ。
「似合ってますよ。ねえ、坊ちゃん?」
「あ、あぁ。可愛いよ」
『良かったぁ…』
笑顔で答えてくれた二人にホッと***は胸を撫で下ろす。
似合っていると肯定された事に安心し、二人が***に見とれていた事なんて気がついていない。
<< >>
《目次へ》