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おやつを食べ、部屋に放り込んだままだった荷物を片付け、***が書斎に行くとシエルは新聞を読んでいた。
「終わったのか?」
『うん、結構綺麗になったよ。それに着替えてみたんだけどー』
似合うかな?と***はその場で1回周ってみせる。
裾にレースの付いたスカートがヒラリと揺れた。
「あぁ似合ってる」
新聞から視線を外し、シエルは微笑む。
そして机の上に置いてあった箱に***に差し出した。
『なぁに?これ。あけていいの?』
「いいぞ、***のだからな」
『なんだろ…』
机の隅で丁寧に包みを開ける。
出てきたのはファントム社のロゴが印刷された箱。
そしてその箱から出てきたのが…
『リュックだ!!』
予想を裏切らない反応を示してくれる***。
「明日発売なんだ。
***の言ったように「自分だけの」が出来るように改良をした。
最初はリボンとネクタイが付いてるんだ。
それから別売りの洋服を着せることも出来るようになってるぞ」
『うわぁ、すごい!シエルありがとう!』
大事そうにリュックを抱きしめる***にシエルは満足そうな表情を見せた。
『何入れようかなぁー』
「何を入れてもいいけど、余り詰め込めないからな」
『うん判ったー』
少し考えてくるねー、と言い残し、***は部屋を出て行った。
「…どう見ても普通の女の子だよな」
無表情でシエルは呟き、読みかけの新聞から紙を抜き取る。
「情報なし、か」
抜き取った紙は数日前にセバスチャンに頼んだ***の情報収集の報告書。
そこにはシエルが期待したような情報は何もなかった。
「地道に探すしかないな」
報告書を引き出しにしまい、シエルは再び新聞を読み始めた。
外出 END
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