落ちた先は蒼 | ナノ
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身の上話から数日、要の生活はある意味大きな変化を遂げていた。

「Hey!今日は何を教えてくれるんだ?」
「っひ?!」
「梵!要ビビッてるから!何でいきなり入ってくるのさ!」

毎日毎日、政宗が部屋に来るようになっていた。
ある時は朝餉が終わった直後、ある時は八つ時直前。
またある時は要が昼寝をしようと横になった瞬間など等。
予告無しに来るため、要は政宗が来るその瞬間までビクビクしっぱなしだった。

「いいじゃねぇか。intruderだって来るときゃ予告しねぇだろ?」
「あのね、梵。俺は南蛮語判んないっていつも言ってるでしょ!」
「あ、成実。intruderは侵入者って意味」
「えーー。じゃぁ何、梵は自分が侵入者と同格って認めてるの?!うわー、って梵、執務は」
「……」

つい、と政宗は目をそらし、軽く口笛を吹く。
それが執務を抜け出してきた、と想像するのは容易い。

「小十郎ーーーーー!!梵がまた要の部屋に来たーーー!!」
「Shit!叫ぶんじゃねぇよ、この馬鹿成実!」
「…うるさい」

ギャァギャァ叫ぶ二人から距離を取るように、要は部屋の隅に移動する。
しばらくすれば、これまた何時ものように米神に筋を浮かべた小十郎が現れ、政宗を引き摺っていくのだった。
1日1回のこの流れは既に伊達軍公認となってしまい、要はたまにすれ違う人達から「頑張ってくださいね」と励まされる程になっていた。

でも要自身、あれほど怖がり警戒していた政宗が目つきこそ怖いが、中身はそれほど怖くない事が判り前ほど警戒はしていない。
…とは言っても、予告無しに部屋に来るのは・・・本っ当に勘弁して欲しいのだが。

「政宗様!全く貴方と言う御方は、小十郎が目を離した隙に何故こうもすぐに…!」
「STOP小十郎、STOP!!」
「言い訳は聞きませぬぞ!」

ズルズルと襟首をつかまれ引き摺られていく政宗を、成実は笑顔で、要はジッと部屋の隅から見送る。
その目には僅かにだが「この人本当に1国の主?俺より年下なのに?」と言う気持ちが込められている。
ふと、そのまま部屋を出て行くと思った小十郎の足が不意に止まった。

「悪いな、要。政宗様が迷惑をかけた」
「いえ。吃驚したけど、大丈夫だから…」
「そうか?おっと…明日、収穫する野菜があるんだが、手伝ってくれるか?」
「え、俺手伝っていいんですか?!」

途端に目を輝かせた要に、小十郎は口元だけの笑みを見せるとそのまま政宗を引き摺っていった。

「明日寝坊しないようにしないと…!」
「小十郎もそうだけど、要も本当に農作業好きなのなー」

意気込み、ガッツポーズをとる要に、成実は少し呆れながらそう返したのだった。

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