落ちた先は蒼 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


(1/3)

ふと我に帰れば、既に日が傾いて。
目の前にある襖1枚挟んだ向こうでは、どんちゃん騒ぎが起きているらしい。
そして自分の服装を見れば、白の小袖に空色の袴、その上に藍色の羽織という姿。
あれ?どうして?と少し考え、要はすぐに「ああ宴か」と言うことを思い出した。

―筆頭――――!!遂にお披露目っすか!

―あの離れにいた客人っすよね!筆頭!

―Yes,紹介するから少し待ちな。要、入って来い!

政宗の声にあわせて、襖が自動で開かれる。
それに驚いた要だが、目の前の光景を見て更に驚いた。

(暴走族、輩が・・・!)

リーゼントやらモヒカンやら(中には丁髷も小数いるが)時代錯誤も甚だしい集団。
しかも皆して目つきが悪く、どうも要にとっては睨まれているとしか思えない。
中にはすれ違ったときに挨拶をくれた顔もあるが、それはそれ。

「Ah?どうした要、入って来いよ」
「え、あ・・・」

政宗の声に我に帰った要は、ギクシャクしながらも場の中央へと足を進める。
周りの視線や囁きがグサグサと突き刺さるが、なんとか政宗の前までたどり着く。
皆よりも1段高い位置に座る政宗はやはり城主なのだと実感させられた。

「本日は、私めの為にこのような宴を開いてくださり、ありがとうございます」
「Ha!堅苦しいのは無しだぜ?要、アンタの席はこっちだ」

頭を下げる要に政宗はニヤリと笑うと自分の横の席を指差した。
一瞬要は躊躇ったが、そのまま素直に従い腰を下ろした。
ちらりと周りを見れば、やはり他からの視線が痛い。
それはそうだろう、城主と同じ位置に素性の知れない人間が座っているのだから。

「いいか、よく聞けよ!要は俺の、伊達の客人だ!」
「知ってますぜ、筆頭!」
「俺たちだって何度か挨拶してやすぜ!」
「・・・」

・・・ノリが、暴走族だ。

驚きを通り越して、最早要は呆然とするしかない。
だが悲しいかな、どうやらコレが伊達軍にとっては当たり前らしい。
視界に映った成実が苦笑を浮かべたのを見て、要は確信した。

「要。悪いがこいつらに挨拶してくれねぇか?Full nameでな」
「え、あ、うん。・・・えーっと。上座なんて高い場所から失礼致します。先ほどご紹介に預かりました、佐伯 要と申します。どうぞよろしくお願いします」

目の前に膳がある手前、立ち上がっての挨拶。
終わった後の沈黙が痛くて、作法を間違えたかと不安になるが、すぐに盛り上がった空気にそれは打ち消される。
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、突如横から伸びてきた政宗の腕に要は引き寄せられた。

「・・・!?」
「判ってるだろうがな。無礼なんてnonsenseな事するんじゃねぇぞ」
「ちょ、政宗・・・?!」

政宗の言葉に要を始めとした、皆が動揺を見せる。
しかしそれは直ぐにざわめきへと変化して行く。

「筆頭!おれらがそんななんせんすなコトするわけねぇッス!」
「筆頭が客として迎えた人に馬鹿は出来ねぇですよ!」
「よーし判ってるじゃねぇか、テメェら!」
「筆頭ー!一生ついていきやすぜー!」
「筆頭―――!!」
「よーし、今日は無礼講だ、テメェら!楽しめよ、Let's party!」

空いた手で政宗が杯を掲げれば、男達の歓声が沸きあがった。
そんな中、ついていけない要は政宗の腕の中、ただ状況に流されていた。

>>

目次へ