落ちた先は蒼 | ナノ
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「うぁあぁぁぁ…」

朝餉を終え、自室に戻った要は1人頭を抱えていた。

「料理って言うけど、何を作れって言うんだ…」

この時代、あまり肉を食べる習慣は無いので必然的に肉は候補に無い。
そして牛乳もないから、牛乳を使う料理も消される。
さらに言うなら味●素とか、人工調味料なんてものも無い。
だしは当然、昆布やカツオで1から取る!

ついでに時刻は八つ時までと制限がある。
むしろ「八つ時にもってこい」と言われたような記憶がある。
それを考えれば、甘味・もしくは軽食に近いものが良いだろう。

「…パソコンになんかレシピ落としてなかったかな」

要の料理のレパートリーは男の1人暮らし故、かなり少ない。
それでも某検索サイトの料理コーナーを覗いて、気に入ったものはパソコンに保存していたはずだ。
そんなことを思い出して、要はカバンからパソコンを取り出す。
正直バッテリーがなくなるから、使いたくなかったがそうも言っていられない。

「何せ、相手は殿様だもの…下手なものなんか出せない…」

不味いものでも出して、お怒りを買えばどうなるか判ったものじゃない。
肩になにやら重たいものを感じながら、要は久しぶりに自分のパソコンを立ち上げる。
純和風・純古風の部屋にカカカッと起動音が響くのは、中々ミスマッチだと要は頭の隅でボンヤリと思った。。

「成実がいれば、好みとか聞けたかもしれないのに、鍛錬に行くとか間の悪い…」

ブチブチと愚痴を零すが、それも仕方のないこと。
要を監視と言う名の付き添いをしている間、成実は全くと言って良いほど鍛錬に行っていなかったのだから。
兎にも角にも立ち上がったパソコンからレシピフォルダを開き、中身を物色していく。

…時折響くマウス音がやっぱり、ミスマッチだ。

そんなことを思っていた矢先、1つのレシピが目にとまる。

「あー…これなら、何とかなる…か?」

目に留まったそれを適当な紙に書き写していく。
こんな時にも筆の要らない現代の素晴らしさを実感させられるのが、何だか悔しかった。

「材料だけ確認してもらおう…」

食材が無ければ、始めようが無い。
メモした紙を懐にしまい、要は厨に向かう。
話は通してある…らしいから、多分大丈夫だと思われる。

しかし部屋を出た直後、要の足はピタリと止まった。

「…どこにあるんだ?」

困ったことに要は畑への道と、食事をする場所、それから風呂と厠。
この城で迷わずにいけるのは、この4つしかなかった。


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