落ちた先は蒼 | ナノ
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(3/3)

「こいつなんてどう?」
「へ、へぇ?」

要の目の前には栗毛の馬。
横では成実が馬の説明をしているが、馬とのふれあい&乗馬経験共に0の要には全く判らない。
とりあえず目の前に馬に対する第1印象は「あ、大人しそう」だった。

「どうだ?乗れとは言わねぇから、触ってみねぇか?」
「触っていいんだ?」
「あぁ、要の馬になるかもしれねぇからな」

政宗に促され、恐る恐るだが要は馬に手を伸ばす。
思いのほか、馬はされるがままで大人しい。
それどころかもっと撫でろと、グリグリと擦り寄ってきた。

「うわわわわ」
「Hum」
「ほぉ」
「流石、俺と梵とで選んだかいがあるね」

慌てる要に三者三様の反応。
結局そのまま自然な流れで馬は要の物となった。






「本当大人しいね、こいつ」

横でパカパカと蹄を鳴らし歩く馬の胴を軽く叩いてやりながら、要は改めて感心する。
そんな要を少し離れた所から、政宗たちは見守る。

「それに頭もいいだろ?」
「うん、手綱もってないのにちゃんと横にいてくれてる」
「どう?そいつでなら、乗れそう?」
「う・・・成実、それは難しい質問・・・かも」
「いや、問題ねぇだろ。こいつはお前に懐いてるし、俺と成実が指導するしな」
「小十郎さん?!」

顔を真っ青にする要に笑う3人。
そのとき要の頭に一つ疑問が過ぎった。

「あ、どうしてこいつ、フリーの馬だったの?こんなに頭いいのに」

何気ない質問に、3人が一瞬固まる。
そしてそれぞれが言葉を捜す素振りを見せ、結局最初に口を開いたのは成実だった。

「性格、かな。そいつ足も速いし、持久力もあるし、頭も良い。けど、戦に向かないんだよ」
「良く言えば持ち主を気遣う主思い、悪く言えば戦場に突撃できない臆病者、だ」
「だからfreeだったんだ。まぁ、俺らは要を戦に出すつもりなんかねぇからな。遠駆けに使うなら文句なしのperfectだぜ?」
「そうなんだ・・・」

要が見上げれば、馬と目が合う。
現代ならば、利口で乗馬クラブ等にうってつけかもしれない性格。
しかしここが戦国時代であるが故に、その性格は負と出てしまった。

「俺が大切にしてやるからな」

自分が生きてきた平成の世と、今いる戦国の世を思えば自然と口から零れ落ちた言葉。
馬は其れに答えるように高く嘶いた。



「ok.馬が決まったところで、要、ちょっと来い」
「何?」

要が政宗の方に向かえば、馬もその後ろをパカパカとついてくる。
短時間だというのに、随分と要は気に入られたらしい。
そのことに口角を上げながら、政宗は目の前に来た要の頭をポンと撫でる。

「随分と遅くなっちまったけど、今夜歓迎の宴を開く。要が主役だぜ?」
「ふぅん、宴。・・・え、主役、俺?!」
「yes.ちゃんと面出せよ」

ニヤリと笑みを浮かべクシャクシャと要の頭を撫でると、政宗は小十郎を引き連れ部屋へと戻っていってしまった。
残された要は慌てて成実を見れば、成実も知らなかったと言わんばかりの表情を浮かべている。

「成実・・・」
「あ、あー・・・とりあえず、そいつ厩に戻そう?」
「う、うん。ほら、戻るよ」
「そうそう名前、つけてやってね。相棒になるんだから」
「判った。次会いに来る時までに考えておく」

果たして宴の開催は突発的なのか、予定されたものなのか。
確認すると言う考えは、突然のあまり成実にも要にも出てこなかった。




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久しぶりすぎて書き方が・・・


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