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思わぬ暴露事件
(3/3)

「まぁ!では、風魔は凛様の命の恩人と」

「そういう感じ、になるのかしらね」

「俺様としては信じがたいけどね」

「……」

「え?そういう感じじゃなくて、命の恩人そのものだって?あー、もう判ったわよ」


若干投げやりになりつつ、凛はだいぶ温くなったお茶を一気に流し込む。
流石に1日に2度も同じ説明をするほど凛も優しくないので、桜にはだいぶ端折った説明になったが大体伝わったらしい。
正確には端折ったが故に小太郎が横槍を入れてくるため、結局同じような詳細な説明をする羽目になった。というのだけれど。


「ああ、ついでに小太郎たまに私の客として来る予定…だから」

「え?その件に対してお館様への許可は…」

「下りてる。あっさり出た。もうこっちが驚くぐらい」

「まぁ、お館様らしいですわね」

「全くよ。とにかく、門をくぐって訪ねてくる限りは小太郎は私のお客様、誰かに危害加えるとかは無いから安心して」

「ふふふ。畏まりましたわ」


何が楽しいのか、桜がふんわりを笑みを作る。
それにつられて凛も笑った後、外を見て「あ」と声を漏らした。


「…日の入りが近いわね。小太郎、そろそろ帰りなさい」

「……」

「我儘言わないの。小田原の城主が心配するでしょう?」

「……」

「ほら、判ったなら早く帰る!」


凛が庭を指差せば、一瞬にして小太郎の姿は部屋から庭へと移動する。
しかし腕を組んだまま、一歩も動こうとしない。
何かを訴えるようにはくはくと口が動けば、溜息と共に凛が腰を上げた。


「…全く、もう…」


凛が縁側に立つと、小太郎がそれに合わすように身を屈める。


「またね。ちゃんと門をくぐって、お客として来なさい」


ポンポン、と。幼子をあやす様に顔を隠す兜を撫でる。
ただそれだけだが真一文字に結ばれていた口が僅かに緩み、次の瞬間には今度こそ小太郎の姿は消えていた。


「…気のせいかな。俺様、風魔に獣の耳が見えた…」

「私も…犬の尻尾が見えた気がしますわ…」

「…2人とも疲れてない?休んだらどうなの?」

ごしごしと目を擦る2人を心配そうに凛は見つめ、空っぽになった湯呑を隅へと押しやった。


「あー、じゃぁ俺様も一旦お館様の所に戻るから。桜、後は頼んだから」

「御意に」


じゃぁねと黒い羽を残し、佐助が消えて部屋には凛と桜の2人きり。


「…本心は…どうなの?」


ポツリと凛が呟く。
余りに小さい声は常人であれば聞き取れないだろうが、相手は忍、しっかりと届いたらしい。


「どう、と申しますと?」

「あの金髪…かすがの手前、罰は与えないと言ったけれど。私を心配してくれたあれは演技だったのか、それとも本心だったのか。どうなのかなって。演技ならわざわざ私に付き合って世話してもらうのも悪いし…」

「…確かに…初めは警戒されぬよう、演技していた所はありました」

「…」

「ですが…凛様という方と接し、私自身、心の底から貴女を心配したのは紛れもない本心です」

「そう、ですか」


背筋を正し、両手を揃えて微笑みを浮かべる桜に凛は僅かに思案する。
そして凛も微笑みを浮かべて、1つある事を切り出した。


「じゃぁ、桜さんが1つ自分の事を教えてくれたから、私からも1つ。…もう知っているかもしれないけれど」

「何でしょう?」

「…私、こんな小娘の姿しているけれど、200年は神様やってます…」

「…え?あの、凛様…?」

「うん、ごめんなさいね。私、桜さんよりずっとずっと長生きしてる」


ポカンとしてしまった桜の様子に凛は苦笑を浮かべる。
御相子であれ、と思ったけれど読みはどうやら甘かったらしい。
更にもう一つ。
我に返った桜にかつて、子どもが好きだと失言をしたと謝り倒され、凛は自分の読みが甘すぎたと思い知らされた。




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まさにタイトルが全てを代弁。どうしてこんな流れになった。

 


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