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8.5


今日はサツキの8歳の誕生日を祝う日。

サツキがマサラに来てから、オレとレッドとねーちゃんとじいちゃんとレッドんちのかーさんと。
皆で祝っていた毎年の行事。それが今年はレッドがいない。

レッドのかーさんが悲しがる素振りを見せないから、オレらも明るく振る舞うけれど。
でも今日の主役のサツキはやっぱり寂しそうだった。
そりゃそうだ、オレとレッドしかサツキにとって年の近い奴らはいないのだから。

今どこにいるかわからないけど、レッドも馬鹿だと思う。
せめてサツキの誕生日を祝ってから、いなくなれば良かったのに。
そうすればサツキが誕生日に寂しそうな顔する必要もなかったはずなのに。

いつか会えるときがあれば、1発ぐらい殴ってやる。

そう心に決めたらこんな時間に来客。
でもまぁじいちゃんの研究絡みだと良くある事だから特に驚かない。
強いて言えば「ちょっとぐらい空気読めよ」って思うぐらいで。
ところがしばらくして玄関先からサツキを呼ぶじいちゃんの声。

「・・・誰が来たんだ?」

「グリーン気になるの?」

「ねーちゃんは気にならねぇの?こんな時間にサツキに用がある奴だぜ?」

「ふふふ。気になるけど、大体わかるかなぁ・・・。いい、グリーン。邪魔しちゃだめよ、じっとここで待ってなさい」

「はぁ?」

なにが楽しいのか一人クスクスと笑うねーちゃん。
見ればレッドのかーさんも何やら楽しそうな顔をしている。

「きっとサツキちゃんにとって、一番のサプライズですよね」

「えぇ、そうでしょう。だって・・・」

続いた言葉にオレは納得する。そりゃ邪魔しちゃ悪いよな。
けれど気になるから必死になって耳を澄ませば、いつもより弾んだ調子のサツキの声が聞こえる。
やがてポケモンの羽ばたく音がして、サツキが戻ってきた。
その小さな腕の中にはポケモンの卵。

「うわ、サツキそれどーしたんだよ!」

「あのね、もらったの!兄様に!」

「ワタルさんから?すっげぇ!大事にしろよ?」

知っているけれど知らない振りして盛大に驚くオレ。
サツキは余程嬉しいのか、演技しているオレにも満面の笑みを向けてくる。
その笑みがなんだか悔しい。
今日1番の笑顔を作ってやるのはオレの役目だったわけで。もちろん、久しぶりに身内に会ったっていう嬉しさはわかる。
なんて言うか良い所取りをされた感じ?
でも次のサツキの言葉でオレの悔しさはどこかへ飛んでいった。

「うん。それでね、兄様からね、いつかバトルしようって言われたの」

「マジかよ!じゃぁさ、その卵が孵ったらバトルの練習しようぜ。オレが相手役してやるからさ」

「ほんと!?」

バトルと聞いて一気に跳ね上がるオレのテンション。
しかもあの四天王の大将からのバトルの誘い。
もちろんリーグの頂点をかけたものではなく、兄妹の交流の意味でなんだろうけど。

それでもバトルはバトル。
何も判らぬまま挑んで負けるより、全力ぶつけて負けた方がいいに決まってる。



そしてサツキが初めての相棒を迎えるのはそんなに時間はかからなかった。







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緑視点。
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