04
二人が旅立ってしばらくたったけれど、二人は良く似ていて異なっていた。
グリーンは事ある毎に、それこそ町に着く度に連絡を入れてくれる。
更に逐一聞いてもいないのに、「何番道路でレッドを見たからバトルを吹っかけた」とか「レッドの手持ちにこのポケモンが増えていた」とか教えてくれた。
そして連絡を頻繁にくれる分、図鑑の情報もこまめに送ってきてくれる。
レッドは殆ど・・・と言うよりまったく連絡が来ない(だからグリーンが近況を教えてくれるのだけど)
その代わり図鑑の情報は送ってきてくれている。・・・但し夜中とかにとんでもない情報量をドッサリと。
しかも出現率が低いポケモンの情報なんかもしっかり抑えられている。
だからレッドが情報を送ってきた翌朝は処理のために研究所が地獄と化していく。
そんな二人に共通して言えることは、おじいちゃん曰く「二人は優秀だ」と言うことみたいだった。
旅だって間もないのに沢山送られてくる情報。
グリーンの話から判ってくる旅のスピード。
確かにそれを思えば、トレーナーではない私でも二人が優秀なのは良くわかった。
「・・・わたしも、旅にでたら二人みたいに早くバッチをあつめられる?」
「急ぐ必要はない。サツキはサツキの旅をすれば良い。ただバッチを集めて戻ってきてもつまらんだろう?色んな所に行って、色んな人に出会う。それが旅と言うもんじゃよ」
「そう、かな?」
「そうじゃよ。あの子らは“相手よりも図鑑を早く埋める”と意気込んでおるから、あれだけ早いのかもしれんのぉ・・・。勿論、才能も理由の一つじゃが」
そう言いながらおじいちゃんはコーヒーを飲み干すと、席を立つ。休憩の時間は終わりみたい。
「あぁそうじゃ。サツキ宛の手紙が届いておったよ。向こうの机の上に置いてあるから後で見ておきなさい」
「うん、もらっておくね」
研究室に戻るおじいちゃんを見送って、机の上を確認する。
確かに私宛のお手紙が1通置かれていた。
ひっくり返して差出人を見て、思わず頬が緩んだ。
「・・・お返事、書かないと」
今回はどんなことが書いてあるんだろう。
どんなお返事を書けばいいんだろう。
ワクワクする気持ちを抑えながら、手紙を抱えて足早に自分の部屋へ飛び込んだ。
手紙を読む前に机の引き出しからミニリュウの印刷されたレターセットを引っ張り出す。
この間グリーンのお姉ちゃん、ナナミさんと一緒にトキワへ出かけたときに買ってもらったもの。
「え、っと・・・?」
左から右へと文章を目で追っていく。
まだ世界の狭い私にとって、書いてある全てが知らない出来事だった。