翼(ビタミン)




「なんだ、まだそんなもの持っていたのか」

私の手にあるのは、数年前に翼君にもらった不恰好な薔薇。

「そんなもの、なんかじゃないわ。だってこれは翼君の愛情そのものだもの」

私はその紙でできた花をそっと抱き締め、翼君を見つめた。
翼君は僅かに頬を染めて呟く。

「……まぁこうして何年も形として残るのも、悪くはない」

薔薇に込められた彼の想いは
何十年経っても私の手の中に








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