この苦しみの分だけ、あなたが好き
ドクドクと高鳴る鼓動は、限界を知らないのか早まるばかり。
最近ずっとこうだ。
春歌といると、ドキドキが止まらない。
二人きりになりたいけど、なったらなったでどうしたらいいかわからなくなる。
こいつは大切な、大切なパートナーで、家来で。
いつもみたいにふざけたりして笑いあえばいい。一緒に曲について議論すればいい。そしたらドキドキする暇なんてなくなる。
俺たちにとって当たり前のそんなことすら、頭でわかっててもできないなんて。
くそっ、それもこれも、薫やレンのせいだ。
恋人のフリ……とか……あの一件のせいで春歌とぎこちなくなっちまって。
それまで春歌のこと、そりゃちょっとは可愛いとか思ったりもしたけど、全然そんなんじゃなくて。
ん?そんなんってなんだよ。
まるで今は……みたいな……。
……あぁ、そっか。だから鼓動が止まんねーんだ。
止まるわけねえよな。
こんなにも、春歌のこと、好きなんだから。
ドクン、ドクン、ドクン、
あああっうるせぇ!
このままじゃ俺、本当に死んじまうんじゃねぇの?
心なしか苦しくなってきたぞ、おい。
痛い、苦しい、でも辛くない。
だってこれは病気の苦しさじゃない。
わかっちまった。
この苦しみの分だけ、お前が好きってこと
だからこんな痛みならいくらでも耐えられる、なんて。
なんだこれ、俺恥ずかしいヤツみたいじゃん。
―――――
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≫確かに恋だった
2010/07/12