どうしてこの愛しさは消えてくれないのだろう



用心が無さすぎる。
俺に対しても、周りに対しても。

教室に入ってすぐ目に入ったのはハルの姿。
距離をおこうと決めたのは自分なのに、気づけばすぐに彼女を追っていて。
我ながら未練がましい。
意識的に目を逸らそうとすると、計ったかのようなタイミングで一十木と四ノ宮がハルに話しかけた。
一十木は彼女を笑わせ、四ノ宮はそんな彼女の頭を撫でて。

やめろ、見るな、触るな。
ハルは俺の、

そこまで考えてハッとする。
俺に嫉妬する権利などありはしないというのに。

どうしても目に入ってくる光景にたまらなくなって、教室を出た。
HRまでまだ時間はあるはずだ。





頭を冷やしたくて、屋上へ出た。
冬特有のキンとした空気が肌をさす。
だが今の自分にはこれが心地よい。
扉を閉め、ずるずるとその場に腰を下ろす。

駄目だ、しっかりしろ。
彼女への想いは捨てると決めたではないか。
ああでも、あんな一場面でこれだ。

わかっている。
一十木たちは俺とハルのことを気にかけてくれて、わざと俺に嫉妬させていると。
一十木はあれで意外と人の気持ちに鋭いところがある。
きっと俺の想いにも気づいているのだろう。(四ノ宮は天然でやっているのだろうが)
彼らが与えてくれる仲直りのチャンスは嬉しいが、それに乗るわけにはいかない。

まだ、まだハルの目を見ることはできない。
彼女に恋をしているうちは、まだ。



さっさと愛しさよ、消えてくれ



そのような願い、無駄だと本当はわかっている。







―――――
thanks title
確かに恋だった

2010/07/10
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -